2019 Fiscal Year Research-status Report
胆膵癌に対する抗PD-1モノクローナル抗体併用REIC遺伝子治療
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19K17462
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 大輔 岡山大学, 大学病院, 助教 (50749215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / PD-1 / REIC / DKK-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
REIC/Dkk-3遺伝子(以下REIC)は、様々な固形癌において発現が低下しており、REIC遺伝子を強制発現させることにより、様々な固形癌において癌細胞特異的なアポトーシスを誘導することが報告され、前立腺癌、悪性中皮腫、肝癌、膵癌については医師主導治験が開始されている。また新型アデノウィルスベクター(Ad-SGE-REIC)の開発により遺伝子導入効率も大幅に改善された。膵癌、肝細胞癌における実験においては、抗癌剤併用による抗腫瘍効果増強を認めており、従来の種々の抗がん治療にアドオンすることでより強い治療効果が期待されている。またREIC遺伝子導入の副産物として産生される過剰なREIC蛋白が樹状細胞の分化誘導を促し、腫瘍抗原提示およびキラーT細胞活性化による腫瘍免疫を誘導することも証明されている。本研究においても、REIC蛋白存在下において、ヒト末梢性単核細胞(PBMC)が肝細胞癌細胞に対する細胞障害性が増強することを細胞実験にて証明した。また免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体)はその腫瘍免疫効果をさらに高める可能性があり、この度、各種消化器癌細胞におけるREIC遺伝子治療とPD-1抗体の併用による抗腫瘍効果を検証した。本年は膵臓癌のモデルマウス(Pan02移植C57BL/6)を作成し、Ad-SGE-REICとPD-1抗体の同時投与を行った。従来通りAd-SGE-REICによる抗腫瘍効果は十分であったが、PD-1抗体投与群における腫瘍縮小効果については個体差が大きく、それぞれの至適容量を評価するための実験を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、細胞実験におけるREICのアポトーシス誘導効果は十分に評価可能であった。またimmunocompetent mouseにおけるPD-1抗体併用REIC遺伝子治療の抗腫瘍効果については、一定の成果が得られたが、PD-1抗体の抗腫瘍効果について、評価に十分な結果が得られていないため、至適容量を検討するための追加実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各癌種について動物実験も推進していく。現在までの実験モデルにおいては、PD-1とAd-SGE-REICの至適容量が十分に評価できておらず、それぞれの容量、および投与経路等を検討しつつ、実験データを累積する。またキラーT細胞が活性化されていることを評価すべく、対象マウスの脾臓からリンパ球を回収し、ELISPOT assay等でAd-SGE-REIC投与、PD-1投与、併用による活性化の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
実験機材、試薬などを他研究のもので代用できたため、次年度に繰り越して使用することとなった。 次年度は細胞株、抗体試薬、動物実験機材の購入にあてる他、研究成果を発表するための論文出版費などにあてる予定である。
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Research Products
(2 results)