2022 Fiscal Year Research-status Report
胆膵癌に対する抗PD-1モノクローナル抗体併用REIC遺伝子治療
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19K17462
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 大輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (50749215)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 腫瘍免疫 / ICI / REIC |
Outline of Annual Research Achievements |
REIC/Dkk-3遺伝子(以下REIC)は、様々な固形癌において発現が低下しており、アデノウィルスベクター(Ad-REIC)を用いてREIC遺伝子を強制発現させることにより、様々な固形癌において癌細胞特異的なアポトーシスを誘導することが報告されている。前立腺癌、悪性中皮腫、肝癌、膵癌については医師主導治験が開始されており、今後、他剤との併用効果についても臨床試験による評価を検討中である。膵癌、 胆道癌、肝細胞癌においては、基礎実験における抗腫瘍効果が既に示されており、抗癌剤併用によるシナジーも報告している。本研究では、胃癌、大腸癌といった消化管癌細胞株においても検証を行い、Ad-REICによるアポトーシス誘導能を確認した。またREICの腫瘍免疫効果に着目し、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)とAd-REICの併用による抗腫瘍効果を検証するため種々の実験を行った。Ad-REICによるREIC遺伝子導入の副産物として産生される過剰なREIC蛋白が樹状細胞の分化誘導を促し、腫瘍抗原提示およびキラーT細胞活性化に よる腫瘍免疫を誘導することは既報にて報告したが、ICIを併用することでさらに腫瘍免疫効果を誘導することが期待される。膵癌細胞株、胆道癌細胞株、胃癌細胞株、大腸細胞株をそれぞれヒト末梢血単核細胞(PBMC)と共培養し、Ad-REIC、およびICI(ペンブロリズマブ)を負荷した際の効果について実験を行った。癌腫や細胞株による違いはあるものの、PBMCの細胞障害性が亢進することが確認された。今後はimmunocompetent mouseを用いたin vivo試験において、Ad-REIC+ICI併用療法の抗腫瘍効果の検証を行う予定である。併せて、REIC強制発現下の腫瘍微小環境における免疫細胞の変化の検証についても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19感染拡大により制限されていた実験環境が大幅に改善しており、前年度より進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き消化器癌に対するAd-REIC+ICI治療の有効性について、細胞実験、動物実験を推進していく。次年度はとくにin vivoでの検証を中心に実施する。
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Causes of Carryover |
【理由】物品費等の購入について予定より節約できたため、また前年度にCOVID-19感染拡大により実験進捗が滞っていた影響から、想定より多くの次年度使用額が生じた。 【使用計画】最終年度では、とくにin vivo用の動物、資材および試薬(ICIなど)購入に充てる予定である。
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