2021 Fiscal Year Research-status Report
粘膜下層剥離面治癒を促進するHGF含浸外用剤の開発
Project/Area Number |
19K17467
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐々木 文郷 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40735297)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 内視鏡的粘膜下層剥離術 / 抗炎症 / 新規被覆製剤 / HGF / 噴霧型製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究にて、消化管傷害モデルをミニブタを用いて新規ゼラチン被覆剤(シート剤型)の胃ESD後人工潰瘍に対する有用性を明らかにした。クラウン系ミニブタにESDの手法を用いて人工潰瘍を作成し、ESD後潰瘍に新規被覆剤を貼付し、内視鏡的および病理学的にその有用性を検討した。その結果、新規被覆剤貼付した潰瘍は、(i)粘膜下層の炎症細胞が有意に少なく、α-SMA陽性細胞が有意に少なかった。ii) 新生血管数が有意に増加した。iii)固有筋層の萎縮・ 線維化(AF score)が有意に低下した。その後、シート製剤は使用部位が制限することから、ゼラチン噴霧型製剤にその剤形を変更し、シート剤同様、クラウン系ミニブタを用いた検討を行った。その結果、噴霧製剤を噴霧した胃ESD後の人工潰瘍は、噴霧しない潰瘍にくらべ(i)粘膜下層の炎症細胞が有意に少なく、α-SMA陽性細胞が有意に少なかった。また、新生血管数が有意に増加した。(ii)固有筋層の萎縮・ 線維化(AF score)が有意に低下した以上より、新規高接着性ゼラチン噴霧型被覆剤は、これまでのシート剤同 様に胃ESD後潰瘍の粘膜下層の炎症・線維化、固有筋層の線維性肥厚を抑制したことを明らかにした。本年度は、噴霧製剤のESD後潰瘍穿孔閉鎖能力について検討した。その結果、i)切除胃を用いた胃ESD後潰瘍穿孔モデルにて直径2.7mmの穿孔を胃内圧26mmHgまで加圧してに持続して閉鎖することを確認した。ii)ミニブタを用いた十二指腸ESD潰瘍微小穿孔モデルにて噴霧製剤をESD後潰瘍に噴霧することにより、筋層および漿膜側への炎症を抑制可能であったことを肉眼所見および病理学的所見にて確認した。噴霧製剤への剤形変更により、臨床応用へ大きく前進できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シート剤の難点であった貼付部位の制限を噴霧製剤にすることで、実臨床での使用に大きく前進した。しかし、HGFの生体内での不安定さの改善に時間を要しており、HGFを噴霧製剤へ含浸させる点が解決できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
HGFの安定化および半減期の短さの点についての改善ができれば、Drug delivery Systemとして使用できるため、さらなる研究を行う。と同時に噴霧型ゼラチン製剤単体としての有用性についても検討を重ねる。
|
Research Products
(3 results)