2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K17470
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
杉本 充 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (10722473)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MIC-1 / 胆道癌 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
Macrophage inhibitory cytokine-1 (MIC-1)はTGF-βスーパーファミリーの一種であり様々な、特に胆膵悪性腫瘍で上昇がみられる。その後は主にMIC-1と膵癌において研究が行われているが、胆道癌においての効果は不明である。我々は胆道癌手術検体、胆道癌細胞2種、また胆道癌症例・胆道良性疾患症例の血清を用いて以下のこと昨年度まで明らかにした。組織検体で胆道癌細胞にMIC-1が発現している。MIC-1は胆道癌細胞の増殖能、浸潤能を促進する。胆道癌症例の血清MIC-1は血清アポトーシスマーカーM30と有意に相関している。 最終年度の研究で、さらにMIC-1の胆道癌に対する作用に関して研究を進めた。最初に胆道癌細胞株2種、正常胆管上皮細胞株を用いて、MIC-1の分泌能を検証した。Western blot、reverse transcription PCRで胆道癌細胞株にMIC-1発現がみられた。胆道癌細胞株と正常胆管上皮細胞株の上清を用いて、MIC-1をELISAで測定すると胆道癌細胞株で有意に上昇がみられた。また、胆道癌細胞株においてMIC-1を作用させてアポトーシスアッセイを行ったところ有意にアポトーシスが抑制されていた。また、MIC-1を添加された胆道癌細胞株は抗がん剤に抵抗性を示した。 上記の結果から胆道癌細胞株はMIC-1を分泌しアポトーシスを抑制して胆道癌を促進していると考えられた。また、胆道癌患者でMIC-1と血清アポトーシスマーカーが有意に相関していたことに関しては、腫瘍の増殖に伴い細胞死の頻度も相対的に増殖したことが原因と考えた。MIC-1と血清アポトーシスマーカーの組み合わせは早期胆道癌の良好な診断能も示していたこともあり、MIC-1は胆道癌の有用な診断マーカーであり、潜在的な治療ターゲットになるものと考えられた。
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