2019 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞分化におけるヒストンメチル化酵素SETDB1の意義と再生医療への応用
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19K17481
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金山 健剛 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (20835102)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝幹・前駆細胞 / 発生 / エピジェネティック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肝幹・前駆細胞の分化においてヒストンメチル化酵素であるSetdb1が分化系統を決定する重要な働きを持つことを証明し、この事象を再生医療に応用することを目標としている。我々は肝細胞と胆管細胞は共通の肝幹・前駆細胞から分化するが、Setdb1遺伝子をノックアウトしたマウス肝幹・前駆細胞が胆管細胞へ優先的に分化することを見出した。本研究ではこの発見の裏付けを行い、最終的に胆管変性疾患治療への応用を目指す。 令和1年度の実績はSetdb1標的遺伝子群の同定に終始した。肝幹・前駆細胞において、Setdb1ノックアウト細胞における各遺伝子のエピジェネティック修飾の変化と、それに伴う遺伝子発現量の変化を調べるために、野生型とSetdb1をノックアウトした肝幹・前駆細胞のクロマチン免疫沈降(ChIP)シークエンス、RNAシークエンスを行なった。解析に十分な細胞数を確保するのに想定外に難渋したが、最終的にChIPの方法を変更し令和2年4月より解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝幹・前駆細胞は胎仔肝より抽出したが、採取できる細胞数が少ないため解析に十分な量を確保するのに難渋し、繁殖と採取を繰り返したため予定通りに行程が進行しなかった。最終的に十分な細胞数を確保できたため令和2年4月より解析を行なっている。 また、当初胆管細胞変性モデルマウスに対するSetdb1ノックアウトマウス肝幹・ 前駆細胞移植実験を当年度中に開始する予定であったが、新型コロナウイルスの流行により動物実験の縮小を余儀なくされたため断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後胆管障害モデルマウスへの肝幹・前駆細胞移植による効果を検討する。Setdb1をノックアウトした細胞ではより胆管障害の改善が認められると期待される。マウス肝幹・前駆細胞でこの現象が確認できれば、ヒトiPS細胞から作成した肝幹・前駆細胞を超免疫不全マウス胆管障害モデルに移植する系で検証する予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ受領額通りに使用した。
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