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2019 Fiscal Year Research-status Report

肝癌におけるマルチキナーゼ阻害剤のエピジェネティックな耐性機序の検討

Research Project

Project/Area Number 19K17482
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

日下部 裕子  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30646708)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords肝癌 / エピジェネティック異常 / EZH1/2 / ヒストンH3リジン27トリメチル化
Outline of Annual Research Achievements

エピジェネティック異常は発癌メカニズムや抗癌剤耐性獲得に関与する可能性が報告されており、本研究ではヒストンH3リジン27トリメチル化(H3K27me3)を介して標的遺伝子を抑制するポリコーム群タンパクEZH1/2に着目し、その治療標的分子としての有用性を探る。
肝癌培養細胞におけるsh-RNAや阻害剤を用いたloss-of-function assayでは、EZH1単独阻害では大きな変化はみられないのに対し、EZH2阻害及びEZH1/2阻害では有意な細胞増殖抑制やアポトーシス誘導が認められ、その効果はEZH2単独阻害よりEZH1およびEZH2両者を阻害した際に著明であった。EZH1/2をノックダウンした肝癌細胞を用いたRNA-sequenceでは、EZH1およびEZH2の標的遺伝子は重複が多いものの完全には一致せず、両者を抑制することでより高い抗腫瘍効果が得られることが示唆された。
また肝癌の既存治療薬であるマルチキナーゼ阻害薬(multi-TKI)が肝癌培養細胞においてH3K27me3レベルを上昇させることが確認されており、薬剤の不応や耐性への関与が疑われる。その原因を検証したところEZH1およびEZH2のタンパクレベルに変化はみられず、H3K27me3のヒストン脱メチル化酵素であるUTX発現の低下も認めなかった。EZH2は様々な部位でリン酸化されることでメチルトランスフェラーゼ活性が失われることが報告されているが、培養細胞の免疫染色にてmulti-TKI投与がリン酸化EZH2を減少させることが確認された。この様なEZH2の翻訳後修飾がメチル化酵素活性を上昇させ、H3K27me3レベルが上昇していることが示唆された。
EZH1/2阻害剤は既存のmulti-TKIと併用することでより高い抗腫瘍効果が得られる可能性があり、肝癌の新たな治療戦略となり得るか、さらなる検討を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は肝癌培養細胞でsh-RNAや低分子化合物を用いたloss-of-function assayによるEZH1/2の機能解析や、EZH1/2ノックダウン株を用いたRNA-sequenceによる標的遺伝子解析をおこなった。また既存治療薬のmulti-TKIが肝癌培養細胞のH3K27me3レベルへ与える影響を検討し、その原因としてリン酸化EZH2の関与についても明らかにした。またmulti-TKIとEZH1/2阻害剤の併用が肝癌培養細胞において相乗的な細胞増殖抑制効果を示すことも確認された。
来年度以降にmulti-TKIによるH3K27me3レベルの上昇がどのような遺伝子に影響を与えるかを検討するためChIP-sequenceを行うことを検討しているが、その準備も概ね整っており、全体的に順調な進行と思われる。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究結果を踏まえ、multi-TKIを投与した際の遺伝子発現の変化について、H3K27me3でのChIP-sequenceやRNA-sequenceを用いて明らかにし、multi-TKIの不応・耐性のメカニズムにまで迫る。
multi-TKIとEZH1/2阻害剤の併用療法の有効性については、in vitroで相乗的な細胞増殖抑制効果を示すことは確認されているが、さらにゼノグラフトマウスモデルを用いてin vivoでも検証していく。またゼノグラフトマウスモデルの腫瘍組織の免疫染色でH3K27me3やEZH1/2発現の変化も検証する予定である。
また肝癌患者の手術検体についても病理学的検討を行い、EZH1/2発現と臨床経過・予後の相関についても検証する。

Causes of Carryover

本年度は培養細胞を用いたin vitroの検討を主に行い、次年度以降にNGSを用いたChIP-sequenceや、マウスモデルを用いたin vivoの実験を予定している。そのため次年度により費用がかかると思われる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] レンバチニブ とエピジェネティック治療薬の併用による肝癌の新規治療法の基礎的検討2019

    • Author(s)
      日下部裕子、千葉哲博、金山健剛、神﨑洋彰、前田隆宏、中村昌人、齊藤朋子、小笠原定久、鈴木英一郎、大岡美彦、中本晋吾、安井伸、三方林太郎、太和田暁之、室山良介、神田達郎、丸山紀史、加藤直也
    • Organizer
      JDDW 2019

URL: 

Published: 2021-01-27  

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