2020 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎における「JAK分子ネットワーク・プロファイル」の解明と治療への応用
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19K17484
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清水 寛路 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00733875)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / JAK阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い研究を実施した。まず、大腸粘膜構成細胞群におけるシングルセル遺伝子解析系を構築するため、小腸オルガノイドを用いた既報に基づき、潰瘍性大腸炎患者由来オルガノイド(n=4)、およびクローン病患者由来大腸オルガノイド(n=1)を用いて解析条件検討を行ない、マイクロ流路系とMultiplexPCR法によるシングルセル解析は概ね同条件で実施可能であること、単一細胞レベルの分離とRNA抽出及び逆転写反応が実施可能であることを確認した。既知の幹細胞関連の10遺伝子について検討を行い、大腸オルガノイドにおいても、小腸オルガノイドと同様の遺伝子発現レベルの評価が遂行可能なことを確認し、得られたシングルセル遺伝子発現データについて主成分解析を行った結果、大腸由来オルガノイドのUC及びCD間では明らかな違いは認めなかったが、患者由来小腸オルガノイド(n=6)と大腸由来オルガノイド(n=5)の比較において異なる分布を示し、部位間の差異が検出可能な解析系として機能していることが確認できた。一方、JAK阻害剤投与を行った対象患者について、大腸内視鏡検査(のべ29件)及び生検組織の採取(n=27)を実施し、疾患活動性に関する臨床的評価(内視鏡スコア等)と病理学的評価の関連を解析した。さらに、これら対象患者のJAK阻害薬投与前の背景因子と、治療開始後4、8、12、24、52週後の治療効果を解析し、治療効果の予測因子を探索したところ、治療開始4週後の効果が52週後の治療効果予測に有用な因子であることがわかった。以上より、大腸粘膜構成細胞群におけるシングルセル遺伝子解析系を構築することができ、対象となる患者の臨床的評価を内視鏡検査および生検組織の病理学的評価で行なって、臨床経過を含めた解析により治療効果予測因子を見出すことができた。
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