2020 Fiscal Year Research-status Report
PARD6Bを介した新たな防御機構の解明と炎症性腸疾患への治療応用
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19K17486
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 啓子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00830291)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸管上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、腸管上皮細胞株やヒト腸管オルガノイドを用いた実験にて、PARD6Bがロタウィルス、コレラ毒素(CTx)の感染後に分解されることを同定しており、どのようなシグナルが分解を誘導するかを検討した。コレラ毒素のレセプターは、細胞膜に局在するスフィンゴ糖脂質であるGM1である。GM1と結合しないCTbや結合部位に変異の入った複数のCTxを用いることにより、CTxとGM1が結合することにより、PARD6Bの分解が誘導されることを同定した。また、非活性化したロタウィルスもPARD6Bの分解を誘導した。これらの結果より、ロタウィルスやコレラ毒素は、細胞膜のレセプターに結合すると上皮細胞が、感知し、PARD6Bの分解を誘導し、エンドサイトーシスを阻害し、さらなる感染を防御していることが同定できた。現在、論文を投稿中である。 2、ロタウィルス腸炎や炎症性腸疾患におけるPARD6Bの機能を検討するため、腸管上皮特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作成中である。PARD6Bはタイトジャンクション構成分子であり、PARD6Bと複合体を形成するaPKCの阻害剤の投与により、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎モデルにおいて、コントロール群と比較して腸炎スコア、体重減少の改善を認めた。また阻害投与群では、腸管透過性亢進の改善を認めた。タイトジャンクションに発現する分子の発現を比較したところ、ZO-1の発現低下が抑制されていることが分かった。 3、潰瘍性大腸炎患者(UC)の腸管組織におけるPARD6Bの発現を免疫組織学的染色法にて 討したところ、健常人と比較してUC患者では、腸管上皮に高発現していた。また、UCの活動期では、寛解期と比較してより高い発現を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腸管上皮細胞株を用いた実験、ヒトの臨床検体を用いた実験は順調に進展している。コンディショナルノックアウトマウスの作製が遅れている。現在、PARD6B flox/-の作成まで終了しており、今後flox/floxを作成し、villin creマウスと交配させ、腸管上皮特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作成予定である。そのため、マウスを用いたウィルス腸炎、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性腸炎の実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、PARD6Bコンディショナルノックアウトマウスを作製を完了し、腸管上皮の構造、機能、腸内細菌叢をコントロール群と比較し、ロタウィルス腸炎、DSS腸炎を誘導し、腸炎における機能を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
PARD6Bコンディショナルノックアウトマウスの作製が遅れており、マウスの解析に伴う試薬、飼育料、交配させるマウスの購入が次年度になっており、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(6 results)