2020 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対するポルフィゾーム及びベルテポルフィンを用いた光線力学的治療の基盤研究
Project/Area Number |
19K17491
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
斧山 巧 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (60817831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食道癌 / Photodynamic therapy / Porphysome |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌細胞株に対し光感受性物質であるPorphysomeとLED光源を用いて光線力学的療法(PDT)をin vitroで実施し、Porphysomeの用量設定や薬物動態を評価及び確認する実験系を中心に行った。食道癌細胞株はKYSE30(高分化型)、KYSE70(低分化型)、KYSE170(中分化型)を用いた。各細胞株に対して、それぞれPorphysome撒布後、細胞内にPorphysomeが取り込まれること、取り込まれたPorphysomeがミトコンドリアに局在することを蛍光染色にて確認した。各細胞株に対してPorphysomeを様々な濃度で撒布し1時間後、LED光源を用いて660nmの赤色光を10J/cm2のエネルギー量で照射し、照射24時間後、クリスタルバイオレットにより生存した腫瘍細胞を染色した。その結果、Porphysome濃度依存的な腫瘍細胞数の減少が認められた。クリスタルバイオレットをメタノールにより可溶化した上でプレートリーダーを用いて数値化して求めたEC50では、それぞれ、KYSE30:5.73μM、KYSE70:5.58μM、KYSE170:4.98μMで、細胞株間での有意差は認められず、いずれの細胞株に対しても有効な治療効果を示した。また、PDTにおいては活性酸素種である一重項酸素が発生することで腫瘍細胞に対し細胞障害性を発揮するが、本実験系においてもその一重項酸素の発生を確認し得たと共にその発生の局在がPorphysomeの局在と一致することも同時に確認された。また各細胞株ともに、Control群に対しPDT群においてのみアポトーシスが誘導されていることを、Hoechst染色においてクロマチン凝縮が観察できたことにより確認し得た。以上から、Porphysomeを用いたPDTは食道癌細胞株に対して有効であり、新たな食道癌の治療方法として期待できる。
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