2021 Fiscal Year Annual Research Report
慢性皮膚炎による腸内細菌叢の変化と炎症性腸疾患との関連性の解明
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19K17503
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原田 洋輔 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (50725968)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸内細菌叢 / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚疾患である乾癬と炎症性腸疾患は臨床的に合併症例が多く存在し、感受性遺伝子の相同性、Th17細胞の関与、anti-IL12/23p40抗体治療法の相同性に加え、近年乾癬においても腸内細菌のdysbiosisが存在し、Faecalibacterium prausnitziiの減少とEscherichia coliの増加といった所見が両疾患において共通して見られることが明らかとなった(Arthritis Rheumatol. 2015; Journal of Crohn's & colitis. 2016 )。さらに発症経過は乾癬様皮膚炎が先に起きる中で、炎症性腸疾患が発症することが時系列的に知られており、炎症性腸疾患発症後に起きる結節性紅斑とは異なる皮膚炎が特徴的である。 これらの事実から、申請者は両疾患が合併する背景には腸内細菌のdysbiosisの関与が存在するという仮説をたてた。皮膚と腸の間に腸内細菌叢の異常を包含した臓器相関関係が成り立つのではないかと考えて動物実験モデルで機序の解明を試みることとした。IMQ皮膚炎マウスにおいて腸管内のDysbiosisが引き起こされ、とくにLactobacillusの著明な減少が認められた。またセカンダリーヒットとして、IMQ皮膚炎マウスは皮膚炎のないマウスに比べDSS腸炎モデルの症状増悪を引き起こすことが判明した。抗生物質投与によりDSS腸炎の増悪はキャンセルされ、無菌マウスにIMQ皮膚炎マウスの糞便を移植しDSSを投与すると、通常マウスの糞便移植より腸炎が増悪する。以上よりIMQ皮膚炎による菌叢の変化は腸炎増悪因子の一つであると考えられた。皮膚炎によりdysbisosisがおきるメカニズムとして、腸管内のナイーブB細胞の減少が原因であると考えられた。
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