2019 Fiscal Year Research-status Report
膵臓癌における DYRK2 の癌抑制機構解明および新規遺伝子治療法開発
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19K17505
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀内 尭 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00838774)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DYRK2 / アデノウィルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵臓癌に対しDYRK2発現組み換えアデノウィルスベクターを用いた遺伝子治療の癌抑制機構と抗腫瘍効果を検討し、新規治療法を開発するものである。 DYRK2はp53のリン酸化キナーゼであり、乳癌や卵巣癌においてSnailを分解することで上皮間葉転換(EMT)や抗癌剤感受性を制御 するという報告や様々な癌組織でDYRK2は抑制されているとの報告がある。しかし、in vivoにおけるDYRK2のメカニズムを解明した報告や抗腫瘍効果を検討した報告は少なく、 遺伝子治療としてDYRK2を応用した研究はない。 そこで本研究では、DYRK2の抑制と腫瘍の増殖能・転移能が相関することに着目し、 DYRK2を過剰発現させることで腫瘍増殖能を抑制させる方法を着想した。 今回我々は、ヒト培養膵臓癌細胞株におけるDYRK2遺伝子の発現量を検討し、shDYRK2で発現量を抑制した場合の腫瘍増殖能、癌プロモーション蛋白、細胞周期を評価するとともに、組み換えアデノウィルスベクターを用いてDYRK2を強制発現させた場合の腫瘍増殖能、癌プロモーション蛋白、細胞周期、アポトーシスを評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに我々は、DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2)と、コンロールとしてkinase-dead型 変異体DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2-KR)を作成した。また、DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2)を膵癌細胞MiaPaCa-2に投与すると、kinase-dead型変異体DYRK2発現アデノウィルスベクター(Ad-DYRK2-KR)投与群、GFP発現アデノウィルスベクター投与群(Ad-GFP)と比較して有意に抗腫瘍効果を持ち、またその抗腫瘍効果は濃度依存的に増加することを認めた。DYRK2発現アデノウィルスベクターを投与することでアポトーシス関連タンパク(Cleaved caspase3,8,cleaved PARP)が発現増強することを確認し、抗腫瘍効果が増強され、細胞増殖能が抑制されることを、各種assayにて評価している。 次に、in vivoの実験のために膵癌Orthotopic mouse modelを作成し膵腫瘍の生着をMRIで確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、DYRK2遺伝子の強制発現が膵癌細胞株に抗腫瘍効果を持つことが確認された。今後はこの抗腫瘍効果が起こる分子学的機序を解明していく。また、作成した動物モデルにベクターを投与し抗腫瘍効果を検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であったshRNAによる腫瘍増殖能の評価を行わなかった。当該評価にかかる予定であった助成金額が次年度に使用する予定となる。
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