2019 Fiscal Year Research-status Report
DAAによるHCV排除後の自然免疫修飾と肝がん早期再発機序の解明
Project/Area Number |
19K17509
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
由雄 祥代 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 肝疾患先端治療研究室長 (10774060)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 免疫応答 / マスサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
C型慢性肝炎に対するDAA治療が標準化され、少数の難治例を除きウイルス排除(SVR)は実臨床で95%以上となった。世界的にC型肝炎ウイルス(HCV) eliminationに向けての戦略が検討される中で、依然としてUnmet needsとして残るのはSVR後肝がんである。de novo肝発がん、肝がん既治療例での肝がん再発、いずれにおいてもDAA治療による免疫系の変容が関与することが推測されているが、その詳細は明らかではない。本研究ではDAA治療前後での免疫細胞を網羅的・経時的に解析し、SVR後の免疫病態を解明することで、SVR肝がんへの対策を確立する基盤情報を得ることを目的とした。C型慢性肝炎・肝硬変患者10例 (年齢:性別:GT-1/-2:慢性肝炎/肝硬変;4/6、IFN治療既往3、肝癌既往1)を対象とした。全例DAA初回治療(SOFLDV/GP/SOFVEL:3/6/1)であり、SVR12を達成した。DAA開始前、終了時、SVR12時点でPBMCを採取し、マスサイトメトリー(CyTOF2)を用いて免疫細胞を網羅的に解析した。SVRによって得られる免疫細胞の抑制性分子の発現低下は、細胞機能の回復に繋がる可能性を示唆しているが、その回復は一様ではなく、HCV感染による重層的な免疫抑制機構の存在を示唆していた。今後症例数を増やして検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DAA治療を行うC型慢性肝炎・肝硬変患者(HCC治療歴のある症例を含む)を対象に、治療開始前・終了時・終了後12週において末梢血を採取、検体の保存を続けている。経過中HCCの初発・再発を認め、手術症例が発生した症例では肝がん組織における肝浸潤リンパ球も解析対象予定としている。1年前の計画として、1)全免疫細胞の頻度・表面抗原・細胞内蛋白を網羅的に解析、2)血漿を用いて、マルチプレックスにて液性因子を網羅的に解析、3)これらを健康成人と比較し、治療前患者において低下および上昇があり、治療後回復する項目に着目し、HCV感染、排除がDC、NK細胞を中心とした免疫応答に及ぼす影響を確認することを予定していたが、これらはすべて予定通りに進行している。2年目には症例数を増やして、検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の解析を継続する。HCC治療歴がある症例について再発の有無により2群に分け、該当症例に関して頻度・表面抗原・機能・単一細胞における遺伝子発現・液性因子を比較検討する。これにより群間に差がある因子を同定し、肝がん再発を規定する免疫応答を解明する。
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