2020 Fiscal Year Research-status Report
心臓再同期療法の効果における右室・左室間相互作用の影響の解明
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19K17513
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 希美 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30823679)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓再同期療法 / 右室機能 / 心エコー検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓再同期療法(CRT)は左室非同期を有する左室収縮能が低下した重症心不全症例の予後を改善する治療法として確立されているものの、その効果予測には依然として課題があり、治療効果を認めない症例を一定数認めることが知られている。右心機能や右室-左室間非同期の是正が治療効果に関連する可能性があることから、本研究ではCRT施行例を対象に、右室機能ならびに左室-右室間での非同期を評価し、右室機能がCRT施行後の心機能にどのような影響を及ぼし、その予後とどのような関連があるのかを明らかにすることを目的としているた。2019年度は心エコー検査を用いてCRTによる右室ペーシングが右心機能に与える影響を後ろ向き研究で評価した。2020年度は前年度に行った心エコー検査による評価で用いた基本的な心エコー指標に加えて、Activation Imagingによる心室収縮のより詳細な解析を行うべく、CRT治療後のエコーデータの収集を行っている。特に、右室機能の評価においては2次元の評価の欠点が複数指摘されていることから、3次元エコーによるデータを収集し、より信頼性の高いデータを得ることを目標として、データ収集を行っている。また、心臓MRIによる同様のデータの取得を目的とし、CRT治療前の症例の心臓MRI検査データを収集し、MRIのfeature tracking機能を用いて、治療前の心室間同期不全の有無について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、初年度から2年目の前半までにCRTの心機能に及ぼす影響を心エコー検査、心臓MRI検査などの画像検査を用いて評価する予定であった。現在心臓MRIデータの蓄積、解析を行っている段階であり、予定と比較してやや遅延を認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓再同期療法(CRT)の右心機能への影響だけでなく、心室間の伝導パターンの治療効果への影響について検討することが本研究の目的であるが、心臓MRIを用いて心室の線維化などの心機能情報、刺激伝導系の情報を定量化し、右心機能、心室間非同期とCRTの関係、よりよい治療効果を得る方法の検討を行うことを目的としている。具体的には、CRTが行われた症例の治療前の心臓MRIを評価し、右室機能を評価する。また、右室、左室、ならびに心室間の伝導遅延の有無をMRI、心エコーによるactivation imagingを用いて可視化することで、CRTの治療効果が期待できる症例の特性を明らかにすることができるかどうかを解析する方針である。これらの成果をもとに、最終的にはMRIや心エコーなどの画像所見をガイドとしたCRTの設定の最適化アルゴリズムを作成することを目的としている。
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Causes of Carryover |
参加予定の国際学会が中止となったため。
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