2020 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン制御とDNA修復応答に着目したラミン変異拡張型心筋症の病態解明
Project/Area Number |
19K17515
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 正道 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70794642)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 拡張型心筋症 / iPS細胞 / 病態解明 / LMNA変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、作成したLMNA変異拡張型心筋症患者由来iPS心筋細胞、およびそのisogenic control株を用いて解析を行った。 まずシングルセル網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、LMNA変異株では野生株と比較して成熟心筋細胞遺伝子を発現する細胞群の割合が減少し、DNA損傷応答関連の遺伝子群を発現する細胞群の割合が増加していることが判明した。その根拠の可能性として、LMNA変異株では一部のDNA修復酵素群の発現が低下していることが判明した。これらの心筋細胞に市販の化合物ライブラリーを投与し、gH2AX集積で示されるDNA損傷蓄積を軽減させる化合物を探索したところ、ある核内受容体XのアゴニストAが有意にDNA損傷を軽減させることが判明した。 さらにLMNA変異を有する心筋細胞の機能異常を解明するため、LMNA変異iPS心筋細胞を用いて各ヒストン修飾(H3K4me3, H3K9me3, H3K27me3)のChIP-seqを行った。その結果、LMNA変異心筋細胞でH3K4me3ピークが減少する遺伝子群が同定された。それらの遺伝子群に共通する結合モチーフを探索したところ、転写因子TEAD1の標的遺伝子群が濃縮していることが明らかとなった。
今後は、心筋症およに心不全の新規治療法開発のため、心筋細胞のDNA損傷応答における核内受容体Xの心不全形成過程における役割の解明、心不全モデル動物における化合物Aの有効性を検証する。また、TEAD1および標的遺伝子群の誘導による心筋細胞の成熟化誘導が可能か検証し、治療応用の可能性を検証する。
|
Research Products
(5 results)