2019 Fiscal Year Research-status Report
難治性心臓病を標的とした新規リンパ管新生療法の開発研究
Project/Area Number |
19K17519
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 優樹 名古屋大学, 医学部附属病院 循環器内科, 助教 (90801887)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓リンパ管 |
Outline of Annual Research Achievements |
(課題1)心臓リンパ管の生理学的状況下および心不全発症過程での役割の解明 生理学的条件下の心臓におけるリンパ管の機能解析に取り組んだ。野生型マウス(雄; 10~12週齢)を麻酔下に開胸して、心尖部にエバンスブルーを注入して左室心筋より同色素がドレナージされる過程で、リンパ管の走行を検出・同定し心臓から集約される集合リンパ管を結紮することにより心臓のリンパ管系システム機能不全を誘導した。心臓リンパ管系機能不全に陥った際の心臓構造および機能における変化(結紮前、結紮後7日目、14日目、28日目、56日目)を経時的に観察し、線維化評価(Masson Trichrome染色)を行った。また、その際の心臓リンパ管の形態的・数的変化を評価する目的で免疫染色(LYVE1およびPodoplaninでリンパ管を同定)をそれぞれ施行した。心臓リンパ管機能不全は、左室心外膜側のリンパ管の拡張変化を伴い、また、一部は繊維化形成所見が認められた。
(課題2)虚血耐性現象により誘導されるリンパ管再構築の検討 マウスLangendorff灌流モデルを用いてEx vivoでの検証を行った。 Ischemic preconditioning (IPC)作成protocolは、既存の報告にしたがって、5分間の灌流停止と5分間の再灌流を3回繰り返し行う。引き続いて45分の灌流停止と15分の再灌流を行い、虚血再灌流(I/R)モデルの作成に取り掛かった。現在引き続き安定した同モデル確立を目指している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題2に関して、モデル確立が手技的に予想以上に困難であり、その後の実験が遅れている。本プロジェクト全体として、現時点では、まずは課題1を中心に進めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
(課題1)心臓リンパ管の生理学的状況下および心不全発症過程での役割の解明 本年度の計画として、引き続きマウスサンプルサイズを増やして、心エコーなどによる心機能に及ぼす影響を評価する。その後、病態モデルでの評価に取り掛かる。心筋炎モデル作成後に心臓リンパ管システム機能を阻害する。さらには病態心での炎症、浮腫、心機能および心臓リンパ管の関連を免疫染色、ウエスタンブロットおよびqPCRを用いて評価する。最後に、心不全発症過程において内因性のリンパ管再生を、今度は“薬物的に”阻害(VFGFR3阻害薬、VEGF-C中和抗体投与)することにより、局所炎症および心筋浮腫に及ぼす影響を評価し、心臓リモデリングへの影響を同様に検証する。
(課題2)虚血耐性現象により誘導されるリンパ管再構築の検討 リンパ管内皮細胞(LEC)を用いたvitro実験で検証を行う。細胞膜表面の受容体などはendocytosisおよびexocytosisによっても密度が調節されており、最近の報告からはIPCもこのメカニズムにて細胞膜表面上のKATP Channelをリサイクルしていることが示唆されている。そこで、今回はIPCがリンパ管新生を促進する一つの機序として「リンパ管内皮細胞(LEC)細胞膜表面上のVEGFR3密度を、IPCのendocytosisおよびexocytosisの機序により調整し、リンパ管形成能が調節されるか否か」を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、発注済み物品のうち、本来納入予定の物品がコロナ禍の為、遅延したことによる。 使用計画については、納入後速やかに使用予定である。
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