2021 Fiscal Year Annual Research Report
難治性心臓病を標的とした新規リンパ管新生療法の開発研究
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19K17519
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 優樹 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (90801887)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心臓リンパ管 / 炎症 / 線維化 / 心肥大 / 拡張障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞をはじめとした、心血管病に関しては世界の死因第1位を占め、さらなる病態の解明とその対策は急務である。リンパ管は血管と同様に全身の臓器に存在する脈管であり、その主要な機能としては、蛋白質や免疫細胞等を含む“リンパ液”を、細胞間の組織間質からドレナージし、リンパ節などを経由しながら静脈循環に戻す回路の役割を担っている。従って、リンパ管を含む“リンパ管系システム”は、組織間隙のホメオスターシスの維持や、免疫の監視機構としての重要な働きを行う中心的な器官の一つであると言える。一方で、心血管病におけるリンパ管の役割に関しては、いまだに十分解明されていない。 心臓病の進行に対する心臓リンパ管は心筋保護作用において重要な適応的役割を担っていることが示されている。しかし、心臓のホメオスターシスに必須であるかどうか、また、心臓リンパ管の機能障害自体が心疾患の発症起点であるかどうかは、ほとんど知られていない。我々は、新たに確立したマウス心臓リンパ管切除モデルにおいて、慢性的な心臓リンパ管の機能低下が形態変化に続いて心機能に与える影響を検討した。野生型マウスにおける心臓リンパ管切除は、炎症細胞の蓄積、線維性変化、心肥大を誘発した。収縮機能は維持されるが、E/AおよびE/e'で評価される拡張機能は、リンパ管切除の6週間後に低下した所見が得られた。さらに、高脂肪食はこれらの反応を悪化させた。一方、リンパ管機能不全後の治療的リンパ管新生は、炎症反応、線維蓄積、心肥大を改善し、結果として拡張機能不全の保護効果をもたらした。その結果、BNP値は維持された。 本研究において今回得られたデータは、心臓リンパ管が、生理的および病的な環境において、心臓のホメオスターシスと心機能の維持に重要な役割を担っていることを示唆するものである。心臓リンパ管が駆出率維持型心不全の新たな治療ターゲットになる可能性も示唆された。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] LPL/AQP7/GPD2 promotes glycerol metabolism under hypoxia and prevents cardiac dysfunction during ischemia.2021
Author(s)
Ishihama S, Yoshida S, Yoshida T, Mori Y, Ouchi N, Eguchi S, Sakaguchi T, Tsuda T, Kato K, Shimizu Y, Ohashi K, Okumura T, Bando YK, Yagyu H, Wettschureck N, Kubota N, Offermanns S, Kadowaki T, Murohara T, Takefuji M.
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Journal Title
FASEB J.
Volume: 35
Pages: e22048
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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