2019 Fiscal Year Research-status Report
奇異性脳塞栓症に関与するハイリスクPFO形態を同定するスコアリングの開発
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19K17525
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高谷 陽一 岡山大学, 大学病院, 助教 (10794290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵円孔開存 / リスク / 経食道心エコー図 / 脳塞栓症 / スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
奇異性脳塞栓症を発症する可能性が高い卵円孔開存(patent foramen ovale: PFO)の形態や機能を明らかにするため、奇異性脳塞栓症の患者と片頭痛など非奇異性塞栓症(コントロール群)の患者において、経食道心エコー図を用いて評価を行った。 奇異性脳塞栓症の特徴として、経食道心エコー図において、Valsalva負荷時のバブルコントラストの右左短絡量、PFOトンネル長、心房中隔瘤を含む可動性を有する中隔、Eustachian弁といった周囲構造物などが有意な所見であることを明らかにした。 経食道心エコー図におけるこれらの特徴、ならびに患者背景を含めたリスク因子をスコア化し、奇異性脳塞栓症に関与するPFOを検出する可能性を検討しているところである。また、症例数を増加させるよう、多施設の症例を用いて検討を行っているところである。 PFOカテーテル閉鎖術は、2017年、大規模臨床試験で奇異性脳塞栓症の二次予防において薬物療法より有効であったと報告され、世界的にPFOに対する治療戦略が注目されてきている。PFOは健常人15-27%に認めることから、PFOカテーテル閉鎖術を施行するにあたり、PFOの有無を診断するだけではなく、奇異性脳塞栓症を発症し得るハイリスクなPFOであるか、判断することが非常に重要である。しかし、心エコー図によるPFO形態に基づくリスク層別化は明らかでない。本研究で、経食道心エコー図において、奇異性脳塞栓症を合併し得るPFOの特徴を特定することは、今後、カテーテル閉鎖術の適応を検討するうえで、臨床的意義が高いことは間違いない。奇異性脳塞栓症のリスクをスコア化することで、実臨床において、より簡便に治療適応患者を層別化することができ、本研究は医学的ならびに経済的に重要な役割を担うと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、すでに、経食道心エコー図で奇異性脳塞栓症のPFOの形態や機能の特徴を把握できている。また、その特徴は、我々の予測とほぼ同様なものであり、進捗状況は予定以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、症例数を重ねたうえで、再度、奇異性脳塞栓症に関与するPFOの特徴を再検討する。それをもとに、リスクスコア化をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度解析用のパソコンを購入予定であったが、既存のパソコンで対応ができため次年度繰り越しとした。次年度はパソコンを含め解析用ソフト等に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)