2021 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷と炎症から見た心血管画像診断・インターベンションによる放射線被曝の影響
Project/Area Number |
19K17533
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
肱岡 奈保子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40836037)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療放射線被ばく / DNA損傷 / 心臓カテーテル検査 / 経皮的冠動脈形成術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では心臓カテーテル検査による放射線被ばくの影響を、患者および術者においてDNA損傷およびDNA損傷応答の観点から検討した。 冠動脈造影および経皮的冠動脈形成術の前後に患者(n=52)および術者(n=35)から末梢血単核球を分離した。DNA二本鎖切断のマーカーとしてリン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)を免疫蛍光染色により、染色体異常として二動原体染色体(DIC: dicentric chromosome)をFISH法にて測定した。また、リアルタイムPCRにて炎症性サイトカインやインフラマソーム関連分子の発現の検討を行った。 患者の単核球γH2AXのfoci数は心臓カテーテル検査後、4.5±9.4倍増加し、その増加の程度は面積線量積(DAP: dose area product)に相関していた。患者の単核球DICも心臓カテーテル検査後71±122%増加した(P<0.05)。単核球内IL-1α、IL-1β、leukemia inhibitory factor (LIF)およびカスパーゼ1のmRNAの発現は心臓カテーテル検査後有意に増加した。このうちIL-1βmRNAの増加量はDAPとではなくγH2AX fociの増加量と相関した。一方、術者においては検査後γH2AXのfoci数やDICに有意な変化は認めなかったが、IL-1βmRNAの発現は有意に増加した。興味深いことに、IκBαの発現量は患者と術者いずれも心臓カテーテル検査後有意に低下した。 心臓カテーテル検査による放射線被ばくは患者の末梢血単核球において、DNA二本鎖切断を増加させ、炎症性サイトカインを誘導した。これにはNF-κBの活性化が関与することが示唆された。術者においてはDNA二本鎖切断の増加は認められなかったが、NF-κBの活性化とIL-1βの増加が認められた。
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Research Products
(1 results)