2019 Fiscal Year Research-status Report
E3ユビキチンリガーゼARIH2によるNLRP3インフラマソーム制御機構の解明
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19K17536
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
鎌田 諒 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (60801420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフラマソーム / ユビキチン / プロテアソーム / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラマソームは無菌性炎症惹起経路として知られ、Caspase-1を活性化し、強力な炎症性サイトカインであるIL-1β産生を制御するタンパク複合体の総称である。これまでにインフラマソーム制御因子の特定を目的とした質量分析法による解析の結果、E3ユビキチンリガーゼARIH2を同定した。我々はARIH2がインフラマソーム複合体中に含まれ、インフラマソームの構成分子であるNLRP3をユビキチン化し、インフラマソームを負に制御していることを見出している。本研究では、ARIH2によるNLRP3インフラマソームの制御機構を解明することを目的として、ドキシサイクリン(DOX)添加によるARIH2発現誘導を可能にしたヒトマクロファージTHP-1細胞をTet-Onシステムにより作製した。DOX添加に伴いARIH2の発現は上昇する。一方で、NLRP3の発現は減少する。このNLRP3の発現減少はプロテアソーム系阻害剤MG132の添加によって抑制されたことから、ユビキチン化されたNLRP3はプロテアソーム系により分解されることが明らかになった。さらに、ARIH2の役割を明らかにするため、ARIH2欠損マウスを作製した。これまで、ARIH2欠損マウスは胎生致死になることが報告されており、我々のARIH2欠損マウスも同様に胎生致死になり、ARIH2欠損マウスを得ることができなかった。そこでCre-loxPシステムを利用したARIH2-floxマウスとCre-LysM(骨髄細胞特異的欠損)及びR26CreER(タモキシフェン誘導性)マウスとの交配により組織/時間特異的ARIH2欠損マウスを作製した。現在、ARIH2-flox × Cre-LysMマウスからチオグリコレート誘導性マクロファージ及び骨髄由来マクロファージを回収し解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究におけるARIH2の解析に必要な細胞や設備等も備え、ARIH2遺伝子改変マウスも来年度に計画している実験に向けて繁殖を続けており、本研究はおおむね 順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、ARIH2の発現制御、及びNLRP3インフラマソーム活性化における制御機序を解明する。 Cre-loxPシステムを利用したARIH2-floxマウスとCre-LysMマウスとの交配により骨髄細胞特異的ARIH2欠損マウスを作製した。このマウスからチオグリコレート誘導性マクロファージ及び骨髄由来マクロファージを回収し、ARIH2欠損下におけるNLRP3インフラマソーム制御機構について検討を行う。 さらに、心血管疾患マウスモデルを作製し、心血管疾患におけるARIH2の役割の検討を行う。 ARIH2によるインフラマソーム制御機序だけでなく、ARIH2が相互作用するNLRP3以外の新規基質探索を行う。得られた分子に対して、ARIH2との結合・ユビキチン修飾・下流シグナルへの影響を検証していく。これらにより、ARIH2による新たな機能の解明が期待できる。
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Research Products
(1 results)