2020 Fiscal Year Research-status Report
心臓発生における転写因子ZNF281の心筋分化調節機構の解明
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19K17537
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
橋本 寿之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90528390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生医療 / 心臓発生 / 心筋分化 / リプログラミング / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
心血管疾患は世界において死亡原因の第一位であり、その要因の一つは心臓に十分な自己再生能がない事である。また、心臓発生の転写制御ネットワークに関しては未だ不明な点が多く、現存する医療技術では未だに心臓を創り出し、有効に再生して修復する事ができていない。現在、心臓形成の分子メカニズムを研究するにはヒトと同じ哺乳類であるマウスを用いることが主流であるが、多くの費用と時間を要する。このような中、我々は線維芽細胞から心筋細胞を直接誘導するダイレクトリプログラミングという手法に着目し、細胞のみを用いるこの系がマウスに代わる心臓形成の分子メカニズムを研究するツールとなりうるのではないかと考えた。この仮説を立証するため、申請者は転写因子ZNF281に着目した。申請者はZNF281には線維芽細胞を心筋様細胞に誘導する効率を著明に改善する作用があることを最近明らかにしたが、ZNF281の心臓発生における機能は不明である。 本研究ではこのZNF281の心筋誘導作用に着目し、胚性幹(ES)細胞及びマウスを用いて心筋分化と心臓発生におけるZNF281の転写調節機構と作用を解明する事を目標とする。本研究成果はZNF281を利用した新たな心臓再生技術の開発につながる可能性があるだけでなく、心臓形成に関わる新規制御因子を探索するデータベースとしてのリプログラミング法の新たな利用価値を立証することとなる。 初年度はマウスES細胞でZNF281を薬剤により誘導的に過剰発現できるES細胞ラインの樹立に成功した。二年目はZNF281を欠損(KO)したES細胞ラインとマウスの樹立に成功した。ZNF281を欠損したES細胞は心筋分化能が欠如しており、ZNF281を欠損したマウスも胎生致死である事を確認し、ZNF281がやはり心臓形成に必須の因子である事を確認できた。現在この分子機序を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度はTet-On発現誘導システムを用いてマウスES細胞でZNF281を誘導的に過剰発現できるES細胞ラインの樹立に成功した。しかしCRISPR/Cas9を用いた条件付きでZNF281をノックアウト(KO)できるZNF281 floxed ES細胞ラインの樹立が技術的に困難であり、単純にZNF281をKOしたES細胞ラインの樹立へと切り替えたため、予定より計画がやや遅れている。またCOVID-19の影響で研究活動に遅れがでている。二年目はZNF281をKOしたES細胞ラインとマウスラインの樹立に成功し、研究を順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はZNF281を欠損(KO)したES細胞ラインとマウスの樹立に成功し、ZNF281を欠損したES細胞とマウスを解析した結果、ZNF281が心筋、心臓形成に必須の因子である事を確認した。今後は、トランスクリプトーム解析を行い、ZNF281がどのような転写ネットワークを介して心筋分化を調節しているかを明らかにする。 また、本年度にZNF281 floxedマウスラインの樹立に成功しており、今後はこのマウスを利用して、心臓のどの分化・発生段階でZNF281欠損の影響が生じているかを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で研究活動に制限が生じ、研究計画が遅れたため、次年度に一部の実験が持ち越しとなった。
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