2022 Fiscal Year Research-status Report
超音波処理を施した酸化ストレス耐性細胞を用いる新規血管新生療法の開発
Project/Area Number |
19K17540
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
吉川 尚宏 久留米大学, 医学部, 助教 (70811082)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管新生療法 / 重症下肢虚血 / 皮下組織由来再生細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢動脈疾患の中でも患者のQOL低下や死亡のリスクが高い重症下肢虚血は、多くの症例で既存の治療法が有効でない。この症例を救済する新たな治療法とし て、患者の自己細胞を虚血組織へ移植して側副血行を促す血管新生療法が注目されている。自己細胞の供給源として、皮下脂肪組織に存在する間葉系幹細胞 (ADRCs)は他組織よりも低侵襲で多量に採取できることより主流となりつつある。当研究室は、血管新生細胞へ超音波刺激を与えて血管新生療法の効果を増強す ることに成功した。しかしこの手法には細胞を培養・処理する施設(CPC)が必要であり、臨床応用には至らなかった。 本研究では投与前の血管新生細胞に超音波刺激を加え、酸化ストレス耐性能力を高めることで、その問題解決を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮下脂肪組織由来再生細胞(ADRC)に対して酸化ストレス、低酸素、低栄養、コントロール群で生存率の比較を行い、酸化ストレスにより生存率が有意に低下する ことを確認した。 Bastaらは超音波刺激によりヒト臍帯血細胞(HUVEC)細胞生存率が低下した(Cardiovascular Research 58 (2003) 156–161)と報告しており、ADRCにおいて 同様の結果が得られるか検証を行った。96ウェル細胞培養用プレートへADRC細胞浮遊液をウェルを満たすように入れ、超音波透過性のフィルムでコーティングし た後に超音波照射(5秒間、10秒間)およびコントロール群を行った。結果、有意ではないものの生存率はコントロール群>5秒間照射群>10秒間照射群と低下傾向 を示した。以上より、今後の実験における超音波照射時間は5秒間にする方針とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はCOVID-19流行による研究スタッフの勤務形態縮小およびウクライナ情勢による細胞・検査キットなどの流通低下が実験の進行に影響を及ぼしているが、改善の兆しがみられている。今後の方針として、酸化ストレスを与えた細胞に対して超音波照射群とコントロール群とで生存率や血管新生因子(VEGF, HGF, Ang-1, Ang-2)産生能、抗酸 化因子(GPX, SOD)産生能の差がみられるかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID19流行によるスタッフ勤務形態縮小およびウクライナ情勢による必要な資材の流通が滞り実験に支障を来している。令和5年度に可能な限り必要な資材購入 に充てる予定である。
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