2020 Fiscal Year Research-status Report
奇異性低流量低圧較差重症大動脈狭窄症の発生機序:全身代謝低下例に出現したAS
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19K17541
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
尾上 武志 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (50772703)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 酸素消費量 / 混合静脈血酸素飽和度 |
Outline of Annual Research Achievements |
奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症(PLSLPG AS)の症例がなぜ心拍出量低下をきたすか、という本来の研究については2019年にAmerican Journal of Physiology HEART AND CIRCULATORY PHYSIOLOGYにアクセプトされた。その内容を補足するためにPLFLPG AS症例では全身の酸素の需要と供給のバランスが取れている、混合静脈結酸素飽和度(SvO2)が低下していない、という点を証明する事とした。その指標としては混合静脈血酸素飽和度が用いられるが、本来は右心カテーテル検査で侵襲的に求める必要があるが、非侵襲的な方法で求めることができないかを模索したところ、Fickの式:全身の酸素消費量≒1.36×(血中ヘモグロビン濃度)×(心拍出量)×(動脈血酸素飽和度ーSvO2)という式を用いて、全身の酸素消費量は呼気ガス検査から、血中ヘモグロビン濃度は採血から、心拍出量は心エコー図検査から、動脈血酸素飽和度は指先のパルスオキシメーターから非侵襲的に求める事でSvO2を非侵襲的に求める事が可能になると考えた。右心カテーテルを予定した47人(男性:29人、平均年齢70±12才)に対して、実測のSvO2と上記方法から得た計算されたSvO2を比較したところ、計測されたSvO2はわずかに小さかったものの(計算されたSvO2 70±5.1% vs 実測SvO2 72.1±4.9%)、有意に相関し(γ=0.79)、相対的誤差は4.8%(1.8ー7.4%)、絶対的誤差は3%(1.3ー5.2%)と許容範囲であった。それらの結果を論文に投稿したところ、Am J Physiol Heart Circ Physiol 2020にアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症の症例の心拍出量はなぜ低下しているか、という当初の最終目標は2019年にすでに到達され、その根拠を裏付けるために混合静脈血酸素飽和度から評価することにしており、その際に非侵襲的な方法を考案し、論文がアクセプトされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症の症例は心臓が原因で心拍出量が低下している、と言われているが、もしそうであれば混合静脈血酸素飽和度は低下しているはずである。通常の大動脈弁狭窄症の症例の混合静脈血酸素飽和度と比較して差があるのかどうか、調べていく
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で学会への参加キャンセルが相次いだため。特に海外への出張が無くなったっことが使用額の減額へと繋がった。今年度はオンラインでの学会発表への参加費および論文の校正、論文掲載料が主な使用用途となる。
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Research Products
(2 results)