2023 Fiscal Year Research-status Report
奇異性低流量低圧較差重症大動脈狭窄症の発生機序:全身代謝低下例に出現したAS
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19K17541
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
尾上 武志 産業医科大学, 医学部, 学内講師 (50772703)
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Project Period (FY) |
2022-12-19 – 2025-03-31
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Keywords | 大動脈弁狭窄症 / 全身の酸素消費量 |
Outline of Annual Research Achievements |
奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症(PLFLPG AS)の症例がなぜ心拍出量低下をきたすか、という本来の研究については2019年にAm J Physiol Heart Circ Physiol にアクセプトされた(Insights into the mechanism of paradoxical low-flow, low-pressure gradient severe aortic stenosis: association with reduced O2 consumption by the whole body. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2019; 316: H840-848.)。その内容を補足するためにPLFLPG AS症例では全身の酸素の需要と供給のバランスが取れている、混合静脈結酸素飽和度(SvO2)が低下していない、という点を証明する事とした。SvO2、本来は右心カテーテル検査で侵襲的に求める必要があるが、非侵襲的な方法で求めるために、Fickの式:全身の酸素消費量≒1.36×(血中ヘモグロビン濃度)×(心拍出量)×(動脈血酸素飽和度ーSvO2)を用いる事とした。全身の酸素消費量は呼気ガス検査から、血中ヘモグロビン濃度は採血から、心拍出量は心エコー図検査から、動脈血酸素飽和度は指先のパルスオキシメーターから非侵襲的に求める事でSvO2を非侵襲的に求める事が可能になると考えた。右心カテーテルを予定した47人(男性:29人、平均年齢70±12才)に対して、実測のSvO2と上記方法から得た計算されたSvO2を比較したところ、計測されたSvO2はわずかに小さかったものの(計算されたSvO2 70±5.1% vs 実測SvO2 72.1±4.9%)、有意に相関し(γ=0.79)、相対的誤差は4.8%(1.8ー7.4%)、絶対的誤差は3%(1.3ー5.2%)と許容範囲であった。それらの結果を論文に投稿したところ、Am J Physiol Heart Circ Physiol にアクセプトされた(Novel noninvasive estimation of mixed venous oxygen saturation by echocardiography and expired gas analysis. Am J Physiol Heart Circ Physiol 2020; 319: H1078-1086.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
奇異性低流量低圧較差重症大動脈弁狭窄症(PLFLPG AS)の症例がなぜ心拍出量低下をきたすか、という本来の研究については2019年にAm J Physiol Heart Circ Physiol にアクセプトされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
PLFLPG ASの症例はSVが低下しているが、SvO 2が低下しているかどうかを検討する。方法は先述の非侵襲的にSvO 2を推定し、健常者、PLFLPG AS,その他のASに分けて評価を行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は留学後の再開申請を行ったが、使用可能となったのが年度の後半であったため。
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