2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the genetics of idiopathic ventricular fibrillation through whole exome sequencing analysis
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19K17543
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
謝 珮琴 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (20623896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特発性心室細動 / 心臓突然死 / 全ゲノムシーケンス解析 / 全エクソンシーケンス解析 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性心室細動(IVF)は心疾患または心臓構造の異常を認めない、突発する致死的不整脈であり、心臓突然死の原因の一つである。IVFの遺伝背景と発症機序を解明するために、IVF 蘇生後の患者204名を対象とした全エクソンシークエンス解析を実施した。IVF関連遺伝変異を同定し、臨床診断で検出されにくい遺伝性不整脈を持つ症例を特定したところ、204名IVF患者のうち、18%がこれまで報告された循環器疾患関連遺伝子に存在する非常に稀かつ病原性のある(Pathogenic/Likely Pathogenic)遺伝変異を持っていることがわかった。こういった遺伝変異の多くは、イオンチャネルの異常を引き起こす遺伝性不整脈関連遺伝子(例:SCN5A、KCNJ2)、遺伝性心筋症関連遺伝子(例:SYNE1)、および筋疾患関連遺伝子(例:TTN)に検出された。さらにIVFの遺伝背景を究明するために、IVF 蘇生後の患者の家系解析を行った。IVF家系計26家系83人の全エクソンまたは全ゲノムシークエンス解析を行ったところ、IVFの原因遺伝変異が確定された二家系の発端者のそれぞれはRYR2 p.Arg4497Cys遺伝変異とTNNI3 p.Arg170Glnを持つことがわかった。RYR2 p.Arg4497Cysは、突然死を起こす致死的不整脈の一つであるカテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)の原因遺伝変異と知られている。一方、TNNI3 p.Arg170Glnは肥大性心筋症患者に報告され、突然死と関連する報告もあった。他の家系において既知のIVF関連遺伝変異の検出はできなかったが、複数の家系の発端者に共通に検出し、循環器機能に影響を及ぼす遺伝子上に稀に存在するNon-synonymous遺伝変異が多数あった。現在こういった遺伝変異のさらなる解析を行い、新規IVF関連遺伝子の同定を行っている。
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