2019 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化プラーク病変の進展制御に関する新規血管成熟化因子Ninjurin1の役割
Project/Area Number |
19K17547
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
蓑島 暁帆 旭川医科大学, 医学部, 特任講師 (90645962)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 虚血性心疾患 / vasa vasorum / 不安定プラーク / 血管成熟化 / Ninjurin1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は血管成熟化を制御する新規分子Ninjurin1(Ninj1)が、血管外膜から血管壁を栄養しプラークへのびる微小血管(vasa vasorum、VV)の成熟、安定化を介して、プラーク安定化に寄与していることを証明することを目的としている。これを証明するために、以下の達成目標をたて研究を進めた。 目標1)マウスを用いた実験。血管特異的Ninj1欠損が、動脈硬化巣のVV形成とプラーク形成への影響の評価を行う。これに関しては、マウスの大腿動脈のワイヤー障害モデルを用い、周細胞特異的Ninj1欠損マウスで、VV形成異常および内膜の異常肥厚を認め、病態が悪化することを確認した。今後、その機序などの解明にむけて研究を進めている状況だが、 今年に入って、COVID-19感染蔓延化問題により、動物実験運用が停止、再開を待っている。 目標2)臨床の冠動脈プラーク組織を用いた実験。プラーク内の微小血管形成、成熟化とNinj1の発現との関連性を評価する。これに関しては、当院及び関連施設にて、倫理委員会の承認を得て、対象となる症例登録を開始した。実際にDCA治療により、採取したプラークの透明化処理を行い、免疫染色にてNinj1の発現、血管や周細胞の分布などを三次元的に観察を行っている。今後、症例を集積し、評価を行う予定であるが、こちらもCOVID-19感染蔓延化問題により症例数が伸び悩んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)マウスを用いた実験系では、Ninj1のKOマウスで、wire障害モデルの病態が悪化することを確認できた。今後、その機序などの解明にむけて研究を進めている状況だが、現在COVID19感染蔓延の影響で当学内における動物実験運用が停止、再開を待っている。 2)臨床の冠動脈プラーク組織を用いた実験では、当院及び関連施設において、倫理委員会の承認がおわり、実際に症例登録を開始。症例も2例あつまり、解析実験を開始しているが、今年に入って、こちらもCOVID-19感染蔓延化問題により症例登録数が伸び悩んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)マウスの実験系では、ApoE、Ninj1-KOの両欠損マウスを作製し、動脈硬化病変を観察する。動脈硬化検体は連続切片を用いた脂質プラーク量、線維性被膜の厚度、ラーク不安定化の評価の他、CUBIC法を用いて組織透明化を行い、免疫染色後共焦点顕微鏡を利用して微小血管の形態などを3次元的に観察する。これらによりNinj1欠損による動脈硬化巣のVV形成とプラーク形成への影響を評価する。 2)臨床の冠動脈プラーク検体を用いた実験では、引き続き症例数を増やし、透明化したプラークを3次元的に観察する。臨床症状から不安定狭心症群と安定狭心症群に分けて評価、比較し、安定狭心症群でNinj1の発現および周細胞被覆率が高く、プラーク内出血が少ないことを証明する。また組織上のプラークの所見と、臨床上の画像所見や、プラーク進展に影響する併存疾患や内服を含めた臨床像を対比させ、評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に関しては研究に用いる資材などを、もともと使用していた他の研究費で購入したものを使用した分があったため。またCOVID-19感染蔓延の影響により、学会参加などがなされなかったため。 今年度に関しては、研究計画に従って、必要資材を購入予定、また学会なども可能であれば参加予定である。
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Research Products
(1 results)