2020 Fiscal Year Research-status Report
化合物ライブラリーを利用した新規肺高血圧症治療薬の開発
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19K17549
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒澤 亮 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (40836384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / 化合物スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究成果の一部は既に、2019年6月14日(米国東部時間、日本時間6月15日)に米国心臓協会(American Heart Association, AHA)の学会誌であるCirculation Research 誌(電子版)に掲載された。昨年までの研究では、 Celastramycinは抗炎症作用、抗酸化作用、ミトコンドリア機能改善効果により肺高血圧症患者由来の肺動脈平滑筋細胞の異常細胞増殖抑制を抑制すること、肺高血圧モデル動物に対して治療効果があることが示され、さらにその分子メカニズムして、CelastramycinがZinc finger protein C3H1という蛋白の阻害作用を通してそれらの作用を持つことを示した。ところが、Celastramycinはヒトに投与されたことがないため、臨床応用のための投与方法の検討、構造展開の考察を進める必要がある。そこで本年は、ADME(薬を投与した後の、吸収、分布、代謝、排泄)の研究を薬学部、AMED構造展開チームと共同で行い、リード化合物としてのセラストラマイシンの最適化を進めた。具体的には、セラストラマイシンの毒性、選択性、溶解性、膜透過性、血中での安定性などを明らかにした。その結果、臨床応用に向けた薬剤の最適化研究が進んでおり、より生体内で有効に働き、副作用の少ない化合物の作成に向けて研究計画を練っている。また、本年は本研究結果についての学会発表を精力的に行い、2020年7月31日に第84回日本循環器学会学術集会にて招待講演(Meet the expert)を行い、2020年9月26日に2020年度日本肺高血圧・肺循環学会「学会奨励賞」基礎研究賞を受賞した。また、雑誌「Pulmonary Hypertension Update」2020年9月号に本研究内容について寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画における研究を概ね全て、順調に進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、セラストラマイシンの最適化研究、ADME研究を進める。また、可能であれば臨床研究に進めるために協力してくれる企業を探索する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、参加を予定していた学会がオンライン開催となり旅費の執行がなくなったこと、物品購入にあたりより安価で購入可能な商品を選択したこと、コロナウイルス対策のために研究室利用が限られていたことが挙げられる。 使用計画としては、成果を国内・海外の学会等で複数回発表することを計画しており、繰り越し分と併せて執行する予定である。
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Research Products
(3 results)