2019 Fiscal Year Research-status Report
心筋ダイレクトリプログラミング法を利用した遺伝子治療用AAVベクターの開発
Project/Area Number |
19K17550
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
礒見 まり 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60748490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心臓再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 心筋直接リプログラミング法に適したAAV血清型の同定(済): これまでに報告されているAAVの血清型はAAV1~10の10種であり、各々が細胞や組織への感染特異性を有する。本研究の遺伝子導入のターゲットである心臓線維芽細胞に最も特異性の高い血清型を選定するため、各血清型のAAV-GFPを心臓線維芽細胞に感染させて細胞指向性を観察した。これまでに、血清型Xが培養細胞および生体内直接投与の両方で心臓線維芽細胞に親和性が高いことを確認している。 2. 心筋リプログラミング因子発現AAVベクターの作製(済): 我々が発見した心筋リプログラミング因子Gata4、Mef2c、Tbx5にHand2を加えると心筋誘導効率が改善するという報告を踏まえ、上記4因子を発現する血清型XのAAVベクターを作製した(AAV-G/H/M/T)。マウス胎児線維芽細胞にAAV-G/M/T/H を同時に感染させ、感染1週間後の遺伝子発現を解析したところ、心筋マーカーであるTnnt2、Ryr2、Actc1の上昇が認められ、iCM細胞が誘導されることが示唆された。またFACSによる解析で心筋特異的タンパク質cTnTの発現も確認された。 3. AAV-G/M/T/Hによる生体内心筋直接リプログラミングの検討(一部済): マウス心筋梗塞モデルを用いてAAVベクターによる生体内心筋リプログラミングを評価する。線維芽細胞リネージトレースマウスの冠動脈を結紮して心筋梗塞モデルを作製し、心臓にAAV-G/M/T/Hを局所投与したところ、投与後2週および4週において心臓線維芽細胞由来のiCM細胞が確認された。今後心エコーを用いてAAV-G/M/T/Hを投与したマウスの心機能の評価を行う。また病理組織学的評価および遺伝子発現解析などで総合的にAAVベクターによる生体内心筋リプログラミングの評価をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は実施計画のごとく、心臓線維芽細胞に指向性の高いAAVベクターの血清型を同定し、この血清型のAAVに心筋リプログラミング因子を搭載したベクターを作製した。このベクターを用いてマウス胎児線維芽細胞から誘導心筋細胞の作製にも成功している。 上記結果を踏まえてマウス生体内での心筋リプログラミングを試みたところAAV-G/H/M/Tの局所投与により心臓線維芽細胞由来のiCM細胞が確認された。現在、生体内心筋リプログラミングに伴う心機能の変化をエコー検査や病理組織学的手法を用いて評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内心筋リプログラミングの評価と並行して論文投稿に向けて準備を開始する。 論文執筆に伴い他系統のリネージトレースマウスを用いた実験等の追加が必要と考えられる場合はこれを行う。
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Causes of Carryover |
2019年度は学会参加がなかったこと、また効率的に物品を購入・使用したことから未使用額が発生した。 新たなトランスジェニックマウスを作製する実験を実施するため、遺伝子操作、マウス搬入等に使用することを予定している。
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