2021 Fiscal Year Research-status Report
家族性高コレステロール血症におけるiPS細胞由来肝細胞の細胞移植治療に関する検討
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19K17552
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡田 寛史 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (10735161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 家族性高コレステロール血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ホモ接合体性家族性高コレステロール血症患者の末梢静脈血より、低侵襲に疾患特異的iPS細胞を樹立し、その細胞を肝細胞などの機能細胞へ分化誘導させることにより、ホモ接合体性FHの疾患モデルを構築すること、また、そのiPS細胞に対しゲノム編集を行い、遺伝子修正LDL受容体の機能回復を確認すること、ノックアウトマウスを用いて遺伝子修正iPS細胞を由来とする肝細胞の移植片としての効果を検討すること、遺伝子修正iPS細胞および機能細胞の移植時における免疫反応について調べることである。 遺伝子修正iPS細胞を由来とする機能細胞に対するin vivoでの機能評価を目的に、LDL受容体ノックアウトマウスを使用した生体内でのLDL受容体機能に関する評価を予定しているが、動物搬入や実験機材の取得に時間を要し、こちらに関する評価は行えていないのが現状である。細胞移植片の機能評価を行い、免疫反応に関してはLDL受容体遺伝子に対する遺伝子編集後も変わらないことを確認した。 細胞移植方法の検討を行う予定としているが、実験動物への移植実験系を確立するため、LDL受容体遺伝子をノックアウトしたHepG2細胞株の作製を行った。これらの細胞を利用して生着率の良い方法を採用する予定である。そこで、遺伝子編集細胞株のDNA解析、細胞レベルにおけるLDL受容体の機能解析、qRT-PCRでの遺伝子発現解析などの実験を行い、移植方法を検討する際に使用する細胞としての妥当性に関して評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲノム編集を行ったHepG2細胞株を用いて、ノックアウトマウスに対する移植実験を行い、生着率の良い方法を採用する予定であるが、実験動物搬入の手続き、必要とする匹数の確保に時間を要しているため、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物の準備に時間を要しているが、用意出来次第、以下の検討を行う予定としている。 誘導肝細胞の移植方法の検討として、HepG2細胞株を用いてマウスへ直接腹腔内注入する方法や脾臓内もしくは上腸間膜静脈への注入など様々な方法に関して検討を行う予定とし、生着率の良い方法を採用する。生着率に関しては、血中ヒトAlb値などで評価を行う予定としている。また、採用した方法を用いてiPS由来とする誘導肝細胞をマウスへ移植し、高脂肪食を与え飼育しながら、血清LDLコレステロール値に対する降下作用及びリポタンパクを含めた詳細な脂質プロファイルを評価する。また、ラジオアイソトープを用いた実験を行い、生体内でのLDL取り込みについて詳細に評価する。 また、前年度行った実験結果よりiPS細胞を由来とする機能細胞の移植における安全性評価としては、軟寒天コロニー形成試験では評価が不十分であることが考えられるため、移植マウスにおけるテラトーマ形成の有無、細胞移植片に対する遺伝子発現解析などを行い、安全性に関して評価を行う予定とする。また、移植細胞の長期生着率および動脈硬化に関する評価としては、移植後マウスを8~12週間程度高脂肪食で飼育後、大動脈や大動脈弁周囲の動脈硬化巣形成の有無および動脈硬化の定量評価を行い、非移植後マウスと比較することで動脈硬化進行抑制作用について検討する。
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Causes of Carryover |
実験動物の搬入手続きに時間を要したため、動物実験そのものに関わる費用が少なかったことと、国内の学会での発表の機会が少なく、海外学会での発表の機会がなかったため、旅費として支出を予定していた費用に関する支出が無かったたことが理由として挙げられる。
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