2021 Fiscal Year Research-status Report
心原性脳塞栓予防につながる多領域複合的アプローチによる診断および治療法の構築
Project/Area Number |
19K17566
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小室 拓也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00760787)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 心房細動 / 血流解析 / 血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動(AF)の最も深刻な合併症である心原性脳梗塞の原因である左房内血栓の形成機序の解明ならびに予防につながる、多領域複合的アプローチによる診断および治療法を構築することを目的に研究を行っている。 現在、AFに対して経食道心エコー検査とカテーテルアブレーション施行時に左房心内膜の線維化指標である低電位領域(LVAs)の両方を施行した、発作性AFと持続性AFともに200例ずつ計400例を研究対象として登録した。 これまでの研究結果として、①左心耳内血栓、左心耳血流速度低下および左房内の高度もやもやエコーなどの経食道心エコー異常像は、高齢、高血圧既往、CHA2DS2-VASc Score高値、器質的心疾患、BNP高値、LAVI高値、E/e‘高値の症例で有意に認められた。②経食道心エコー異常像を認める群は正常群に比し有意に広範なLVAsを認め、LVAsが広範囲になるに従い経食道心エコー異常所見を有する割合が増加した。③左心耳内血栓を認めた症例において、抗凝固薬変更を要した症例は、最終的にはダビガトランもしくはワルファリンで血栓が消失した。④4D-flow MRIによる左房wall shear stress(WSS)は、非心房細動例に比べ、心房細動例で低下していることが示唆された。 以上の結果から、AFにおける左心耳血栓形成には、CHA2DS2-Vasc Scoreに反映される臨床的背景に加え、左房筋の線維化が強く関係していることが示唆された。また、左房壁にかかるずり応力の低下が左房筋の線維化につながる可能性があることが考えられた。 以上のことから、左房低電位領域、左心耳血流速度、WSSによる血栓リスクの総合評価が可能かどうかを経過観察を行いながら検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
計画段階では、研究開始後2年間で発作性AF、持続性AFをともに100例ずつ登録を予定していたが、一時、新型コロナウイルス感染症対策で症例登録ができなかったため、目標症例数に達していない。また、MRI検査件数が当初見込んでいた件数が施行できておらず、MRIによる左房内血流解析が進んでいない。また、症例の登録が遅くなったため、経過観察期間が短くなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
目標症例数に達していないため、今後も引き続き症例の登録を進める。 MRIによる左心耳の血流解析において、MRI画像から左心耳の抽出が困難な症例が少なからず見られるため、そのような症例に対する対応および描出方法の構築が必要であるため、解析ソフトメーカーとともに対応策を考えている。 また、至適抗凝固療薬の選択について、血流解析および電気生理学的所見を含めた考察をまとめていく。
|
Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により、出張費の使用がなかったため。また研究の進捗が遅れたため、論文作成費用を使用しなかった。 2022年度は、研究結果を発表するための学会参加旅費および論文作成費用に使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)