2019 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈疾患におけるPD-1/PD-L1の役割の解明
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19K17570
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤末 昂一郎 熊本大学, 病院, 助教 (10779151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PD-L1 / 急性冠症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、悪性腫瘍の分野において免疫チェックポイントタンパクであるProgrammed death-1 (PD-1)、 Programmed death-ligand 1 (PD-L1)が注目されている。免疫チェックポイントの阻害薬である抗PD-1抗体は抗腫瘍効果が期待される一方で、自己免疫反応や慢性炎症を活性化し、自己免疫性疾患の発症に関連するという報告もされている。動脈硬化においてもその病態に炎症が深く関わっており、PD-1、 PD-L1が何らかの役割を担っている可能性があるが未だ解明されていない。 本研究において熊本大学病院に冠動脈疾患で入院となった連続269例において血清中の可溶性PD-L1(sPD-L1)を測定した。安定冠動脈患者28例と急性冠症候群241例のsPD-L1を比較したところ、急性冠症候群患者ではsPD-L1値は有意に高値であった (106.1 [60.9±157.7] pg/mL vs. 64.8 [30.9±102.5] pg/mL, P=0.003)。ロジスティック回帰分析をおこなったところ、sPD-L1はCRPなど従来より急性冠症候群と関連するとされている臨床因子とは独立して急性冠症候群に関連していた (オッズ比: 1.007, 95 %信頼区間: 1.001±1.013, P=0.018)。以上から、sPD-L1は急性冠症候群の病態と有意に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記結果を米国心臓病協会年次学術集会で報告した。さらに症例を蓄積し、より詳細な検証をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
前向きに症例を蓄積し、sPD-L1の測定をおこなっていく。さらに、サイトカインや他の免疫チェックポイントタンパクの測定も行い、メカニズムにも踏み込んだ詳細な検証をおこなっていく予定である。また、急性冠症候群だけではなく、冠動脈疾患の重症度にも着目しsPD-L1値の比較検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
sPD-L1などバイオマーカーの測定にはELISAキットを使用するため一定数集まってから一度に測定を進める必要がある。 症例数がまだ少ないため次年度以降にまとめて計測を進めていく予定である。
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