2019 Fiscal Year Research-status Report
選択的小胞体分解(ERファジー)に着目した心不全における細胞内品質管理の意義
Project/Area Number |
19K17572
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50793080)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心不全 / オートファジー / 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全の発症と進展において、不良なタンパク質の蓄積・凝集が関与している。オートファジーは不良タンパク質を分解・除去する分子機構である。近年、オートファジーによる選択的小胞体分解(ERファジー) の存在が明らかになったが、心臓における役割については検討されておらず、本研究ではそれを明らかにする。マウスの心臓に大動脈縮窄を作成して、圧負荷心不全モデルを作成した。大動脈縮窄後4週の不全心では、ユビキチン陽性蛋白質やP62陽性タンパク質が蓄積していることが確認され、不良タンパク質の蓄積を示唆していた。小胞体膜蛋白であるCCPG1は、特徴的なLIRモチーフにより、小胞体内の不良タンパク質分解に関与することが報告された。我々の検討では、CCPG1 mRNAレベルは大動脈縮窄後の不全心で有意に低下しており、ERファジーの低下から心不全の進展に関与することが示唆された。 続いて、H9c2心筋細胞を用いて、SiRNAによりCCPG1のノックダウンを行った。CCPG1特異的SiRNAトランスフェクションして検討したが、CCPG1のタンパク質レベルの低下が認められなかった。そのため、CCPG1のERファジーに関する機能解析までには至っていない。並行して、非ミリストイル化不良タンパク質蓄積に関与すると考えられるNMT1およびNMT2をノックダウンしたところ、ウエスタンブロッティングでLC3B-IIの増加を認め、オートファジーの促進が示唆された。Bafilomycin A1投与によるオートファジーフラックスでの検討でも、LC3B-IIの増加を認めており、非ミリストイル化不良タンパク質の蓄積により、オートファジー活性化が確認された。また、p62基質蛋白質の低下を認めた。一方でユビキチンタンパク質蓄積が認められた。引き続き不良タンパク質蓄積に伴うERファジーの意義に着目して解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroにおけるCCPG1のERファジーの意義に関する検討では、CCPG1ノックダウンの系が確立出来ず、心筋細胞における内因性のレベルでのCCPG1発現量が多くない可能性があり、CCPG1心筋細胞特異的ノックアウトマウス作成には至っていない。一方、不良タンパク質として、非ミリストイル化タンパク質がオートファジーを誘導することが示唆され、ERファジーとの関連性について並行して解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでは、内因性レベルでのCCPG1発現が多くないと考えられるため、小胞体ストレス刺激などによりCCPG1発現の変化を確認する必要がある。この結果を得て、CCPG1 Floxマウスを作成して、αMHCプロモーター下にCreリコンビナーゼが発現するαMHC-Creトランスジェニックマウス(αMHC-Cre+)と掛け合わせ、心筋細胞特異的CCPG1ノックアウトマウス(Ccpg1flox/flox;αMHC-Cre+, Ccpg1-/-)を作成する。一方、不良タンパク質として、非ミリストイル化タンパク質がオートファジーで分解される基質となっている可能性があり、不良タンパク質蓄積に伴うERファジーの意義に着目して、継続して解析を行う予定である。また、ERファジーを修飾する機構として、ミリストイル化が関与している可能性があり、この意義についても解析を進める予定である。ERファジーに関与する分子機構を探索し、これが心不全に対する新しい治療戦略となり得ると期待される。
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[Journal Article] Plasma levels of melatonin in dilated cardiomyopathy2019
Author(s)
Misaka Tomofumi、Yoshihisa Akiomi、Yokokawa Tetsuro、Sato Takamasa、Oikawa Masayoshi、Kobayashi Atsushi、Yamaki Takayoshi、Sugimoto Koichi、Kunii Hiroyuki、Nakazato Kazuhiko、Takeishi Yasuchika
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Journal Title
Journal of Pineal Research
Volume: 66
Pages: e12564~e12564
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Clinical implications of intrarenal hemodynamic evaluation by ultrasonography in patients with heart failure.2019
Author(s)
Misaka T, Yoshihisa A, Ichijo Y, Kimishima Y, Kanno Y, Yokokawa T, Abe S, Sato T, Oikawa M, Kobayashi A, Yamaki T, Kunii H, Nakazato K, Ishida T, Takeishi Y
Organizer
Scientific Sessions of American Heart Association 2019
Int'l Joint Research
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