2022 Fiscal Year Annual Research Report
フレイル合併高齢心不全患者への非監視型心臓リハビリテーションの有効性とその最適化
Project/Area Number |
19K17578
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小森 孝洋 自治医科大学, 医学部, 講師 (80406107)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 心不全 / 運動療法 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も新型コロナウイルス(COVID-19)流行が研究実行に大きな影響を及ぼし、研究実施が遅延した。本年度もひきつづき患者登録を進めていく方針としたが、COVID-19の流行の波が繰り返し生じ、研究中断を余儀なくされた。患者のライフスタイルも大きく変化してしまい、研究期間内に感染流行前と同じ生活には戻らなかったが、制限を受けながらもその後6名の患者を登録することができ、登録患者数は最終的に計27名となった。 本研究はCOVIDー19の流行の影響が大きく、計画通りに研究が実施できた患者は5名であった。非監視型心臓リハビリテーションの実施後には、運動耐容能の指標であるpeak VO2、認知機能指標のMoCA-J値の上昇が認められたが、対象患者数が少なかったため統計学的有意差は検討できなかった。マイオカインの一種であるBDNFは非監視型心臓リハビリテーション後に低下が認められた。 次にBDNFに関連する心不全のフレイル指標を横断的に解析した。横断解析は27名で行った。BDNFの中央値をカットオフとして全体を2群に分けて検討したところ、BDNF低値群は高齢で心血管合併症を有する割合が多く、細胞外水分量(ECW/TBW)と体水分量が多かった。認知機能スコアのMoCA-JとMMSEもBDNF低値群では低値であった。横断解析からは、BDNFは心不全患者において身体的・精神認知的フレイルや、運動耐容能と関連することが推測された。 今回の研究では仮説を検証するための十分なデータが不足していたが、非監視型心臓リハビリテーションが心不全自体や、合併しているフレイルの状態を改善させるのに有効である可能性が示唆された。また、BDNFがそれらに関係している可能性も考えられた。本仮説の検証のためには、COVID-19流行によるライフスタイルの変化を考慮して患者への介入方法を検討する必要がある。
|