2019 Fiscal Year Research-status Report
重症心不全に伴う二次性臓器障害の可逆性と予測指標の検討
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19K17580
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岩崎 慶一朗 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (40815346)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心不全 / 腎不全 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主として、国立循環器病研究センターにおいて過去に植込型補助人工心臓治療を受けた重症心不全症例を対象として、過去の診療録および既に収集されている検体から解析データの収集と解析を行った。 腎機能障害やサルコペニアはしばしば心不全に合併する併存疾患である。尿クレアチニン排泄量は尿検査から得られる古典的なサルコペニアマーカーであるが、重症心不全症例において、その有用性は検証されていない。我々は本研究で収集したデータを用い、植込型補助人工心臓治療前の尿クレアチニン排泄量が術後の予後や臓器機能と関連するか検討した。術前の尿クレアチニン排泄量はCTで得られる他のサルコペニアマーカーと有意に相関しており、重症心不全患者においても尿クレアチニン排泄量はサルコペニアの指標として有用であることが示された。また、術前の尿クレアチニン排泄量は術後生命予後と有意に関連しており、術後の頭蓋内出血に関しても独立して関連していることが示された。 尿クレアチニン排泄量は非侵襲的で容易に採取可能なバイオマーカーであり、経時的な評価に使用しやすい検査である。サルコペニア評価のゴールドスタンダードであるDEXA法やCTによる評価は放射線被曝を伴うため、繰り返しの実施が必要な経時的な評価には不向きな側面がある。上記の研究により尿クレアチニン排泄量が重症心不全症例においてもサルコペニアの有用な指標であることが示された。今後は腎機能・肝機能・肺機能などの臓器機能と共に、尿クレアチニン排泄量などのサルコペニアに関しても経時的な評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は過去の症例を中心として、心不全に合併する併存疾患の解析データを収集することが出来た。また、サルコペニアに関する解析から、尿クレアチニン排泄量と術後のイベントとの関連を報告することが出来た。臓器可逆性の予測指標に関する解析にはより多数の症例を対象とした解析が必要であり、引き続きデータの収集を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き補助人工心臓および心臓移植治療を要する重症心不全症例を対象として、解析データの収集および解析を継続していく予定である。臓器可逆性の予測に有用な指標の検索に関してはより多くの症例および解析項目データが必要であり、今後も継続して解析データの収集を継続する。
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Causes of Carryover |
データ集積の関係上次年度に論文校正等の資金として持越し予定。
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