2020 Fiscal Year Research-status Report
全身性動脈硬化疾患の発症とその予後における石灰化抑制因子の意義の研究
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19K17589
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
千田 啓介 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (00794413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 全身動脈硬化疾患 / 石灰化抑制因子 / 検体採取終了 / Baseline評価中 / 学会演題登録中 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈疾患は、アテローム血栓症の一部分症であり、それぞれが合併した全身動脈硬化疾患(polyvascular disease)を呈することが多い。例えば日本人の末梢動脈疾患患者では、そのうち43.8%と高率に心臓や脳など他の血管にも問題があるとわかっている。動脈硬化の一つの形態として血管石灰化が挙げられるが、その成因として石灰化抑制機構の異常、石灰化抑制因子の欠乏が指摘されている。本研究では、石灰化抑制因子の血中濃度と各動脈の血管石灰化の関連を調査するため、冠動脈疾患、末梢動脈疾患の患者につき全身の血管スクリーニングを行い、相関があるかどうか、またその後の心血管イベントと関連するかどうかを検証する。これにより、石灰化抑制因子が動脈硬化疾患の予後予測因子となり得ることを証明することで、予防的な抗血小板薬やスタチン製剤使用、PやCaの管理などの積極的介入の意義につき、科学的基盤を確立させることを目指す。 令和元年度の実績は、研究者の業務異動が生じたため研究のプロトコールを見直す必要が生じ、研究協力施設を設け調整を進めた。研究施設および研究協力施設の倫理委員会の承認を得たため、対象症例のリクルートメント、検体採取を開始した。 令和2年度は対象症例のリクルートメントを終了した。エントリー時の血液検体採取、画像所見の解析、各種検査成績をまとめた。石灰化抑制因子の項目の一部は、一括アッセイのため現在処理中である。初期にエントリーした症例については臨床経過のfollow-upを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、石灰化抑制因子の血中濃度と全身の血管石灰化の関連を検討するものである。対象患者数は不変であるが、当初リクルート症例は2泊3日の検査入院患者を想定していたにも関わらず、病院としての在院日数縮小の方針から、一律検査入院が1泊2日に短縮されたため、同意取得から研究参加頂く過程に無理が生じ、外来対応を含めたプロトコールへの変更を要した。また、研究者の業務異動が生じたため、研究施設のほか、研究協力施設を設け、それぞれの倫理委員会の承認を得る必要が生じ、手続きを行った。各機関の検査室にも研究の概要を周知し、キックオフを行った。 その後の症例登録は順調であったが、コロナ禍となり、コロナ患者受け入れのため、研究対象患者の入院を延期もしくは他院へ依頼する必要が生じた。このため、症例登録が遅れ、目標症例のエントリー完了まで約2か月間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
症例のリクルートメントが終了し、登録時のデータがまとまった。初期のデータをまとめ一部解析を行い、先行発表を行うべく、日本心臓病学会学術集会および日本動脈硬化学会学術集会へ演題登録を行った。現在採択の結果待ちである。今後、検体が揃ったため最終アッセイの結果を待ち、解析を進めていく。可能であれば、初期の登録症例だけでも臨床経過のfollow-upの予後解析を今年度末に行えればと考えている。
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Causes of Carryover |
本年は、症例登録が遅れたため、検体の測定が一部にとどまったことから、検体の測定が次年度に一部持ち越された。したがって、測定費用につき次年度使用額が生じた。また、コロナ禍のため活動内容を発表する学会が中止または延期され、機会がなくなった。こういった支出がなかったことから次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和3年度請求額と併せて検体の測定費用や研究成果の発表費用、論文校正費、解析ソフトなどに使用する予定である。
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Research Products
(7 results)