2021 Fiscal Year Annual Research Report
心筋疾患におけるマイオカインの病態生理学的意義解明と治療応用のための基盤研究
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19K17592
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 貴裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60635598)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートタキシン / 心筋疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートタキシン(autotaxin, ATX)は、リゾホスファチジン酸の産生を介して、心筋の炎症、線維化およびそれに続く心臓のリモデリングを促進する。本研究では、非虚血性拡張型心筋症(non-ischemic dilated cardiomyopathy, NIDCM)患者における血清ATX値と心イベントとの関連を検討した。NIDCM患者104名(年齢49.8±13.4歳、男性76例)を対象とした。ATX値には性差が報じられていることから、男女それぞれの血清ATX中央値を用いて、ATX高値群とATX低値群に分類した。心イベントは、心臓死と心不全入院の複合エンドポイントとして定義した。全患者におけるATX値の中央値は、男性で203.5 ng/mL,女性で257.0 ng/mLであった。脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide,BNP)値は、ATX高値群においてより高値であったのに対し(224.0 [59.6-689.5] pg/mL vs 96.5 [40.8-191.5] pg/mL,p=0.010)、高感度C反応性タンパク値および心筋生検検体における線維化率は,両群間に有意差を認めなかった。生存解析では、イベント発生率がATX低値群よりもATX高値群で有意に高かった(Log-rank: p=0.007)。COX比例ハザード分析では、ATX高値が複合心イベントの独立した決定因子であった。血清ATX高値は、NIDCM患者の不良な臨床予後と関連することが示された。本結果は、血清ATX値がNIDCMの新規バイオマーカーまたは治療標的となる可能性があることを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 拡張型心筋症患者におけるリバースリモデリング予測スコア2021
Author(s)
木村祐樹, 奥村貴裕, 森本竜太, 風間信吾, 柴田直紀, 大石英生, 荒木孝, 水谷崇, 桒山輔, 平岩宏章, 近藤徹, 室原豊明.
Organizer
第7回日本心筋症研究会
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[Presentation] Serum autotaxin level predicts future cardiac events in patients with dilated cardiomyopathy2021
Author(s)
Takashi Araki, Takahiro Okumura, Takashi Mizutani, Yuki Kimura, Shingo Kazama, Naoki Shibata, Hideo Oishi, Tasuku Kuwayama, Hiroaki Hiraiwa, Toru Kondo, Ryota Morimoto, Mikito Takefuji, Toyoaki Murohara.
Organizer
ESC Congress 2021 The digital experience
Int'l Joint Research