2019 Fiscal Year Research-status Report
電気生理学的機能解析を用いた早期再分極症候群の病態解明と有効な治療法の探索
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19K17593
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
高山 幸一郎 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (20816988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 早期再分極症候群 / KCND3変異 / 一過性外向きカリウム電流 / 機能獲得型障害 / キニジン / 疾患モデルiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに特発性心室細動や原因不明の心肺停止と診断されていた患者群を再検討し、11例において早期再分極症候群と臨床診断した。それらに対して、次世代シークエンサーでのパネル解析を行い、1例においてKCND3新規変異(p.Gly306Ala)を同定した。KCND3はKv4.3イオンチャネルをコードし、このKv4.3イオンチャネルは心筋活動電位第1相の一過性外向きカリウム電流(Ito)を構成している。培養細胞(CHO細胞)を用いた電気生理学的機能解析を行い、変異Kv4.3イオンチャネルの機能獲得型障害を確認した。続いて、Ito電流阻害作用のあるキニジンを用いた薬物負荷試験を行い、濃度依存性に機能獲得型障害を是正することを証明した。これは、キニジンが実臨床においても効果的であったことと一致した。コンピュータシミュレーションを用いた生体モデルでの検討により、変異Kv4.3イオンチャネルの機能獲得型障害が仮想心電図において早期再分極を呈することを確認した。これらの研究成果について国際誌に論文報告した。 続いて、培養細胞を用いた薬物負荷試験において、キニジン以外にもベプリジルも同様に機能獲得型障害を是正することを確認した。現在、他の心筋イオンチャネルとの相互作用などを評価するため、疾患モデルiPS細胞の樹立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属する国立循環器病研究センターの新築移転にあたり、一定期間、実験を休止する必要があったが、おおむね順調に経過できている。
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Strategy for Future Research Activity |
早期再分極症候群と臨床診断した11例のうち、パネル解析では原因が特定できなかった10例については、エクソーム解析を行って原因究明を行う。KCND3変異を同定しえた症例に関しても、エクソーム解析を追加して神経症状(てんかん等)の原因が他の遺伝子にないか検索する。 KCND3変異による早期再分極症候群の疾患モデルiPS細胞を樹立し、より詳細な病態解明、効果的な薬物の探索、副作用の評価などを行う。神経症状の病態を検討し、全身性のイオンチャネル病の病態を解明する。
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Causes of Carryover |
所属する国立循環器病研究センターが新築移転したため、研究に必要な機器の購入を延期した。今年度、エクソーム解析などを行うための高機能パソコンを購入予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] A de novo gain-of-function KCND3 mutation in early repolarization syndrome2019
Author(s)
Koichiro Takayama, Seiko Ohno, Wei-Guang Ding, Takashi Ashihara, Daisuke Fukumoto, Yuko Wada, Takeru Makiyama, Hiroaki Kise, Minako Hoshiai, Hiroshi Matsuura, Minoru Horie
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Journal Title
Heart Rhythm
Volume: 16
Pages: 1698, 1706
DOI
Peer Reviewed
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