2020 Fiscal Year Annual Research Report
地域基幹病院における脳卒中診療実態の解明と医療の質均てん化の検討
Project/Area Number |
19K17606
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田中 敦史 佐賀大学, 医学部, 特任准教授 (00594970)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 脳卒中 / 医療の質 / 地域医療 / 救急診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、佐賀県内の地域基幹病院における脳卒中発症患者の臨床的背景と神経学的予後に関する実態を明らかにすると同時に、日本脳卒中データバンクが公表しているナショナルデータである「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」を参考に、本研究での当該地域における脳卒中診療実態の解明と脳卒中診療の質改善へ向けた臨床的問題点を抽出すること。 佐賀県北西部の地域基幹病院における、脳卒中により入院した連続527例について、発症時の臨床的背景と神経学的予後の実態について後ろ向きに調査した。 当該期間における心房細動に対する抗凝固薬の至適用量使用例の割合は、低い傾向にあったが、その後のDOACの普及などによる至適用量の実態調査および脳梗塞予防効果の検証なども今後必要と思われる。 一過性脳虚血発作を除き、いずれの病型でも退院時の神経学的予後は入院前と比べて悪化しているが、その悪化因子の同定には更に詳細な臨床データ(発症からの来院時刻、病巣の部位・範囲、治療内容など含め)の集積が必要と思われる。 「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」と比べて、脳出血を除くその他の病型(特にくも膜下出血)の死亡率が低い傾向であった。この結果が何に起因したのかは今回の調査では明らかにできなかったが、当該医療圏域内での急性期中核病院としての設備およびアクセスの改善を重ねてきた経緯なども考慮され、各地域のさまざまな医療的社会的特性を考慮した医療体制の拡充をさせていくことにより、それぞれの地域住民に対する医療の質を担保することにつながることが示唆された。
|