2020 Fiscal Year Annual Research Report
髄外造血に注目したJAK2 V617 変異に伴う肺高血圧症のメカニズムの解明
Project/Area Number |
19K17609
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
君島 勇輔 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00836702)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | クローン性造血 / JAK2 V617F / 肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、体細胞遺伝子変異を有する血液細胞が末梢血液中に出現するクローン性造血が報告された。JAK2V617F変異はクローン性造血で認める遺伝子変異の一つであるが、我々はJAK2 V617Fトランスジェニックマウスをドナーとする骨髄移植により、クローン性造血のマウスモデルを作成した。JAK2 V617F骨髄移植レシピエントマウスは、持続的低酸素誘導性肺高血圧症モデルにおいて、野生型レシピエントと比較して、右室圧、右室重量の有意な増加と、末梢肺動脈の中膜肥厚と筋性化の増悪を認めた。JAK2V617Fレシピエントは、肺動脈周囲の著明な好中球浸潤を認め、好中球エラスターゼ活性と好中球関連ケモカインが有意に増加していた。RNA sequencingにより、JAK2V617Fは造血幹細胞、骨髄性細胞、末梢血好中球、肺好中球に分化するに従って、ACVRL1(ALK1)発現を進行性に増加させていた。JAK2V617Fは、STAT3リン酸化を介して、ACVRL1プロモーターでその転写を促進していた。ALK1阻害薬により、JAK2V617Fマウスで認めた肺高血圧症の増悪は完全に抑制された。さらにヒトでの検体では、JAK2 V617Fクローン性造血は健常人より肺高血圧症患者で有意に高頻度に確認された。JAK2 V617Fクローン性造血は、ALK1を介して肺動脈リモデリングと肺高血圧症を増悪させることが示唆された。
|