2019 Fiscal Year Research-status Report
高血圧感受性遺伝子ATP2B1と動脈硬化の直接的関連の病態解明並びに治療戦略開発
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19K17610
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 雄祐 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (60612629)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ATP2B1 / 治療抵抗性高血圧 / 生活習慣病 / 一塩基多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病加療中の日本人集団1124名において口腔粘膜細胞から抽出したDNAを用いて、ATP2B1遺伝子のSNPのうちrs11105378を含む12種類のSNPsのタイピングを行った。 タイピングを行った1124名中、コントロールされた高血圧群は888名(79.0%)、治療抵抗性高血圧群は43名(3.8%)、除外者は193名(17.2%)であった。ATP2B1遺伝子のそれぞれのSNPのマイナーアレルをホモ型に保有する患者と比較して、メジャーアレルを保有する患者において、10個のSNPで有意に治療抵抗性高血圧が多かった(rs1401982において最も有意で5.8% vs 0.8%、p=0.014)。年齢、性別、収縮期血圧、その他交絡因子を含む多変量調整後も2個のSNPでその関連は有意であった(rs2681472においてオッズ比7.60、95%信頼区間1.00-57.65、p=0.05;rs1401982においてオッズ比7.62、95%信頼区間1.01-57.81、p=0.049)。また、rs2681472とrs1401982はそれぞれrs11105378と連鎖不平衡にあると考えられた。 日本人生活習慣病患者において、ATP2B1遺伝子が治療抵抗性高血圧と関連することが初めて示された。本研究において治療抵抗性高血圧と関連を認めたSNPsはrs11105378と連鎖不平衡にあることから、同SNPにおいて認められたATP2B1遺伝子の発現低下が、高血圧のみならずその治療抵抗性に関わる可能性が示唆された。 上記内容は、「ATP2B1遺伝子の一塩基多型は治療抵抗性高血圧と関連する」と題して、第8回臨床高血圧フォーラム(2019年5月11日)で発表し、Young Clinician Award (YCA) 優秀賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、大学全体の研究活動や、研究物資の調達にも影響が出るとともに、人的リソースも使いづらい状況が続いており、基礎研究の進捗に多大な影響が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究の進捗が遅れていることをカバーするために、当初予定していた研究の一部を外注化して効率化することで進捗の遅れを挽回する。また、臨床研究は学会発表も終えており、現在論文執筆中であることから、早めに投稿を行う。 また、臨床研究(後ろ向き観察研究)が順調に進んでいることから、その結果を元にした介入研究を新たに計画して行うことを検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による影響が出ており、基礎研究の進捗が遅くなっている。そのため、当初予定していた実験部分の使用予定額を使用していない。本年度は外注の併用により研究効率化を図り、臨床研究部分のさらなる拡充を行うことへ研究費を用いる計画とする。
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Research Products
(1 results)