2020 Fiscal Year Research-status Report
大動脈解離におけるEtsファミリー転写因子Spi-Bの保護的分子病態機構の解明
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19K17612
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
樽谷 玲 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (60612942)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / Spi-B / アンギオテンシンⅡ |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈解離は「突然死」の原因として最重要疾患である。大動脈解離の機序は、大動脈中膜の変性により、剪断応力に対し大動脈が脆弱な状態となるため、一過性の血圧上昇により大動脈中膜の解離が生じ発症すると考えられている。しかし、大動脈解離の前段階である中膜変性の機序は、未だ十分に解明されていない。すなわち、大動脈解離の分子病態機構が未解明であるため、予防法は確立しておらず、大動脈解離を発症して初めて治療が行われているのが現状である。この状況を打開するには、大動脈解離の分子病態機構を解明し、新規分子標的治療法の確立が必要である。本研究の目的は、大動脈解離における中膜変性の分子病態機構を明らかにすることである。そして、解明した大動脈解離の分子病態機構を基に、最終目標である大動脈解離に対する原因治療となる新規分子標的治療法の開発への礎とする。 2019年度でSpi-B KOマウスにおいて大動脈解離を発症する原因と考えられる遺伝子・蛋白を明らかとしたが、2020年度はその制御機構の解明を進めてその制御していると考えられる細胞を同定することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、2019年度で解明し得なかった実験動物を用いた大動脈解離における中膜変性の分子制御機構の解明に昨年の実施状況報告した通り取りかかったが、解明に難航した。そのため、実験計画ではヒトにおけるSpi-Bの大動脈解離に対する分子病態機構の解明への着手が大幅に遅延し、進捗は計画に比べ遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、実験動物を用いた大動脈解離の保護的分子病態機構は概ね解明し得たが、ヒト試料を用いた研究(和歌山県立医科大学倫理委員会承認番号:2287)は予定より遅延している状況である。本年は、ヒトにおけるSpi-Bの大動脈解離に対する保護的作用の分子病態機構を明らかにし、ヒトの大動脈解離発症予防に関与するSpi-B発現細胞を検索する予定である。
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Causes of Carryover |
当初2020年度に予定していたヒト試料での研究が遅延したため、2020年度の研究費に未使用額が生じたが、2021年度にヒト試料での研究を実施する予定であり、その際各種試薬等を購入予定である。
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Research Products
(9 results)