2020 Fiscal Year Research-status Report
超常磁性酸化鉄ナノ粒子を用いた冠動脈CTによる新しい不安定プラーク同定法の確立
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19K17614
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡野 裕子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (90835620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超常磁性酸化鉄ナノ粒子造影剤 / 冠動脈CT / 不安定プラーク / Dual Energy CT |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度のファントム実験の結果をもとに、動物実験を行った。 動脈硬化モデルとしてLDL受容体が欠損した家族性高コレステロール血症モデルである渡辺遺伝性高脂血症ウサギ(WHHL)6羽(動脈硬化群)と、コントロールとなるニュージーランド白色家兎(NZW)3羽(コントロール群)にCMEADM-Uを静脈内投与し、投与5日後にDual Energy CT(DECT)による撮像を施行した。撮像後に大動脈を摘出しヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)、鉄染色(ベルリンブルー染色)、免疫組織化学染色(RAM11染色)を行い、DECT画像との比較を行った。 120kVp single-energy CT (SECT)とほぼ同等の造影能を持つとされる70keV仮想単色X線画像では動脈硬化群、コントロール群とも大動脈に集積を認めなかったが、40keVによる仮想単色X線画像を用いることで動脈硬化群の動脈硬化病変で集積を同定することが可能であった。HE染色においてもコントロール群では明らかな動脈硬化病変は見られなかったのに対し、動脈硬化群では動脈硬化病変を認め、同部位においてベルリンブルー染色、RAM11染色も陽性であった。 動脈硬化群における40kV仮想単色X線画像ではベルリンブルー染色の陽性領域の程度でCT値に違いは認められなかったが、RAM11では陽性域が広くなるにつれてCT値が有意に高値であった。 今回の結果より、CMEADM-Uを用いたDECT撮像により従来のSECTでは同定できなかった動脈硬化病変におけるマクロファージの集積を検出できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
covid-19の感染拡大により遅れていた動物実験も施行することができ、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回はベルリンブルー染色、RAM11染色とも視覚的評価を用いて染色の陽性領域を5段階に分類し、DECTにおけるCT値と比較検討した。今後は染色陽性域に対し定量評価を用いて解析し、CT値との相関について評価する予定である。またDECTでは特定の物質を強調するmaterial density imageが取得可能であるためファントム実験から得たDECTの濃度とCT値の関係を基に、DECTにおけるmaterial density image用いたDECT mapを作成しDECT mapにおける定量評価とベルリンブルー染色、RAM11染色の陽性域に相関が認められるかについても検討する。 これらの結果をまとめて最終的に学会発表や論文投稿も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度の動物実験費用が予定していた金額を超えてしまう可能性があり、2021年度予算から前倒し請求を行った。予定していた金額より少額で済んだため、残額があり次年度使用額が生じた。 差額については2021年度に結果の考察や追加解析に用いる予定である。
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