2019 Fiscal Year Research-status Report
Epigenetic strategy for the treatment of house dust mite-induced asthma
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19K17627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細木 敬祐 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10805162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / エピジェネシス / ヒストン脱アセチル化酵素 / 自然免疫 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息は、気道の慢性炎症で特徴づけられ、気流制限の強度とともに臨床症状が変化する。発症の危険因子には、遺伝的素因と環境因子が挙げられる。後天的な要因が個体へ影響を及ぼすメカニズムには、エピジェネティクス(DNAの塩基配列変化を伴わない遺伝子発現の多様性)の関与が指摘されている。気道のリモデリングは喘息を難治化させるが、エピジェネティクスの研究がステロイド抵抗性を克服し、モデリングを制御しうる手段としても期待がもたれてきた。 本研究は、新たな喘息の治療ターゲットを見出すため、気道上皮の自然免疫応答に影響を与えるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を同定し、ヒストン修飾で制御を受ける炎症性・抗炎症性の分子を探索することを目的としている。さらに上皮間葉転換を抑制するモデルを並行して分析し、HDACが関与する気道炎症の分子機構との共通点あるいは相違点を明らかにしようとしている。 ヒト気道上皮細胞をダニ抗原で刺激した実験系では、HDAC阻害剤が炎症性サイトカインを抑制する結果が得られ、上皮細胞における免疫応答へ影響を及ぼす可能性が示唆された。しかし、当初の仮説(monocyte chemoattractant protein(MCP)-1-induced protein 1の増加)による効果であることは証明できなかった。 マウスにおいては、 ヒトの喘息において主要アレルゲンであるダニによるアレルギー性気道炎症モデルを作製中であり、HDAC阻害剤による気道の変化を分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、動物モデルマウスを作製していた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、現在のところ研究活動が停止中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウス気管支肺胞洗浄液を採取し、総細胞数・細胞分画・各種サイトカインを分析する。摘出された肺からは発現遺伝子の解析、病理学的評価(ヘマトキシリン・エオジン染色、Periodic Acid-Schiff染色など)を実施する。FlexiVent systemを用いて、メサコリンに対する末梢気道抵抗、動肺コンプライアンスを測定する。 また、ヒト気道上皮を用いた気道炎症モデルや上皮間葉転換モデルから得られた検体によりRNAシーケンスを実施し、転写産物の網羅的な発現変動を解析する。
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Causes of Carryover |
マウスを用いた実験を翌年度も引き続き実施するため、次年度使用額が生じている。
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