2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺傷害時の肺上皮幹細胞におけるHippo経路の役割の解明
Project/Area Number |
19K17628
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
砂金 秀章 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40821880)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | COPD / TAZ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タモキシフェン依存的に肺上皮幹細胞においてTAZ/YAPを欠失する遺伝子改変マウスを作出、複数の肺傷害モデルにおける再生機序を検討し、肺上皮幹細胞におけるHippo pathwayの役割と肺再生の新たな機序を明らかとすることを目的とした。 本年度は、昨年度に引き続き、CCSP Creプロモーターを用いたTAZ CKO系統について、肺気腫モデルの解析を行った。肺気腫モデルは豚膵エラスターゼを用い、野生型マウスで投与法及び投与量を検討した上で、タモキシフェン(TMX)によるTAZのコンディショナルノックアウトの有無、及びエラスターゼの投与の有無の4群について動物実験を施行、解析した。肺気腫の程度の解析については気管支肺胞洗浄液(BALF)中の炎症細胞数、肺生理機能、病理学的なmean linear intercept(MLI)の測定を行った。BALF中の炎症細胞数については、エラスターゼ群でやや上昇がみられたものの、エラスターゼ投与群の中ではTMX投与の有無で有意な差は見られなかった。肺生理機能検査では、肺コンプライアンス及び肺気量はエラスターゼ投与で顕著に上昇し、有意ではないがTMX投与群でやや大きな上昇がみられた。MLIについては肺生理機能検査と同様の傾向を示し、エラスターゼ投与群/TMX投与群で最大であったが、他の群と比較して有意ではなかった。 これらの結果から、今回の実験系においては、TAZのコンディショナルノックアウトが肺気腫の形成に影響を与えるという仮説を支持する結果は見出すことができなかった。
|