2020 Fiscal Year Research-status Report
びまん性肺疾患の診断と予後予測における機械学習アルゴリズム構築に関する研究
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19K17633
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 大記 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (30837654)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | データベース構築 / 医療知識マッピング / AI構築 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
びまん性肺疾患は一般の呼吸器科医には診断が困難なことが多い上に予後不良な群が含まれる一方,精度の高い診断を行える専門医が少ないため,人工知能(AI)による精度の高い診断システムと予後予測システムの開発,及び開発に必要な大規模なデータベースが望まれてきた.本研究の全体計画における目標は「びまん性肺疾患の臨床情報・画像データのデータベース構築と,精度の高いびまん性肺疾患診断・予後予測人工知能(AI)開発」である.具体的には(A)医療用データベースの構築,(B)臨床情報・画像データと医療知識のマッピング,(C)ディープラーニングを含めた機械学習による医療画像・臨床情報からの自動所見抽出,(D)びまん性肺疾患診断・予後予測人工知能(AI)を開発することである. 本研究では令和1年度に,全国のびまん性肺疾患専門病院からびまん性肺疾患の系統だった疾患データ 約2,000例を蓄積してデータベースを構築し,医療知識の適切なマッピング・種々の前処理を含め,AI診断に適したデータ変換を行った.さらに,びまん性肺疾患の診断予測を行うAIを構築したところ,単施設データで作成された診断AIモデルと同等の精度を達成した. 当該年度(令和2年度)では,令和1年度に構築した診断AIアルゴリズムのブラッシュアップを行った.さらに,予後情報に対して,臨床情報と昨年度に構築した診断AIの特徴量を用いてディープラーニングと機械学習を組み合わせ,精度の高い予後予測AIを構築した.構築した予後予測AIを応用し,個々人での治療効果予測を可能とするアルゴリズム構築を達成した.このアルゴリズムにより,臨床情報からの個別化医療への道筋を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,当該年度(令和2年度)に間質性肺炎の予後情報に対して,胸部CT画像・臨床情報を用いてディープラーニングと機械学習を組み合わせ,精度の高い予後予測AIの構築を目的とし,目的達成のために以下の課題を遂行することを掲げてきた. 1. 精度の高い予後予測AIを構築.
令和2年度には,開発済みのびまん性肺疾患AI診断システムをブラッシュアップし,より高精度で汎化性能の高いAI診断システムを構築した.また,構築したシステムから胸部CT画像の特徴量抽出に成功した.さらに,この特徴量とその他の臨床情報を用いて,予後情報に対する深層学習を行い,高精度の予後予測AIを構築した.これらの結果は令和2年度に国内外で発表を行っており,当初の計画通り概ね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の解析によって,多施設データに対する適切な前処理方法,解析の高速化方法がわかっている.また,高精度予後予測AIを応用した個々人への治療効果予測アルゴリズムを構築した. 令和3年度には,令和2年度で構築した予後予測AIは個別化医療への道を開くものであるため,本領域に与える影響が大きく,より多くの施設で精度が落ちないように汎化性能を高めるためのアルゴリズムブラッシュアップを行っていく.令和2年度に想定していた研究参加施設からのデータ提供が遅れたため,データ解析量が当初の想定より減少していたが,データ収集が完了したため,令和3年度に専用ワークステーションを購入し,さらなるバリデーションを行う予定である. 研究発表は,コロナ禍でオンラインによる発表に変更になったため旅費使用額が減少したが,令和3年度には,これまでの研究成果を国内外で積極的に発表するとともに,全ての結果をまとめたジャーナル投稿を予定している. また,作成したびまん性肺疾患診断AIと予後予測AIをウェブ上に組み込んで,広く一般に利用できるプラットフォームを構築する. 現在,大規模前向き全国レジストリを開始しており,この中で前向きに人の診断とAIの診断を施設に提示するプラットフォーム構築に取り掛かっており,臨床現場における洗練化と精度向上,新規知見の創出を行いたい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍による医療体制の逼迫により,研究参加病院からのデータ提供が遅れたため,データ解析量が当初の想定より減少した.このため大規模データ解析のために必要な専用ワークステーションの購入が遅れたが,データ収集が完了したため,令和3年度に購入を予定している. また,研究発表のための旅費はコロナ禍でオンラインによる発表に変更になったため使用額が減少したが,令和3年度に国内外に向けてより積極的な発表を予定している.
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Research Products
(7 results)