2020 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性換気障害と動脈硬化進行に関与する新たなバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
19K17634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
濱田 哲 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20813869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 1秒量 / 経年的変化 / α1-アンチトリプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、閉塞性換気障害と動脈硬化の進行に関与する新規バイオマーカーを探索することであり、代謝物質(メタボライト)に注目して研究計画を立案した。昨年度行った解析では経年的な1秒量(FEV1)低下と上腕足首間脈波伝播速度(baPWV)上昇を顕著に示す集団であるrapid decliner群とatherosclerosis群において、共通のメタボライトが存在するかどうかを主成分解析を用いて検討を行ったが両群間で共通のメタボライトは認められなかった。検討したメタボライトはアミノ酸や糖代謝に関与するものであったため、対象を脂質代謝に関与するものに拡大することを検討したが、経年的変化を5年という短い間隔で評価したことが結果に影響した可能性も考えられたため、コホート第3期のデータを含めて検討することを計画したが、2019年12月より発生した新型コロナウイルス感染症の拡大のためコホート研究を行えなくなった。そこで、コホート研究で得られている既存データを用いてFEV1低下やbaPWVの上昇に関与する因子を検討した。結果FEV1低下とα1-アンチトリプシン(AAT)の上昇が正の相関関係を持つことが分かった。FEV1低下は性ホルモンの影響を強く受けるため、性別および閉経の有無でサブ解析を行い、性別、閉経の有無に関わらずAAT上昇とFEV1低下は正の相関関係を維持していることが分かった。またAATの上昇と喫煙歴はFEV1低下に対して相加的関係があることが分かり、この関係は閉経後の女性において強く認められることが分かった。AATとCOPD発症(FEV1低下)に関しては、AAT欠乏がその因子であることが知られているが、上記結果は逆説的であり、現在論文投稿準備中である。
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