2019 Fiscal Year Research-status Report
呼吸波形解析を活用してCOPDの呼吸困難を読み解く―新たな呼吸法開発を目指して―
Project/Area Number |
19K17642
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤田 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60571023)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) / 呼吸波形解析 / 呼吸パターン / 労作時呼吸困難 / 心肺運動負荷試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は気流閉塞を特徴とする肺疾患であり、主な自覚症状は、咳嗽、喀痰、労作時呼吸困難である。なかでも、労作時呼吸困難の進行は、日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)に影響を及ぼし、生命予後を悪化させる。そこで、労作時呼吸困難を適切に評価し、症状を改善させる治療法の開発が必要とされる。申請者は、これまで、COPDの呼吸リズムに着目し、安静時呼吸波形の不規則性(不規則呼吸)がCOPDの労作時呼吸困難や増悪と関連することを明らかにしてきた。本研究では、COPD患者の不規則呼吸が労作時呼吸困難につながる機序について、心肺運動負荷試験を用いて、呼吸生理学的観点から検討することが目的である。COPD患者を対象に 、respiratory inductance plethysmography(RIP)を用いて、15 分安静時の呼吸波形をモニタリングし、得られた呼吸波形から一呼吸毎の一回呼吸時間(吸気時間+呼気時間)、一回換気量の変動係数(標準偏差/平均×100)を算出し、呼吸不規則性指標とした。変動係数はばらつきの指標であるため、呼吸に関して変動係数が高値であれば呼吸が不規則であることを意味する。次に、心肺運動負荷試験を行い、運動耐容能の評価(最大酸素摂取量(VO2max)、最大負荷量(WRmax))、換気効率(換気当量(VE/VCO2 、VE/VO2))を評価し、呼吸不規則性指標と運動能との関連を検討する。 さらには、COPDの治療介入前後(長時間作用型抗コリン薬(LAMA)や長時間作用型β2刺激薬(LABA)などの気管支拡張薬)の呼吸不規則性指標を評価し、治療介入により不規則呼吸が変化するかどうかも検証する。呼吸は随意的に制御されうるために修飾可能な生体運動である。そのため、不規則呼吸に対する治療介入(呼吸安定化)は労作時呼吸困難や増悪リスクの改善につながると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院でCOPD患者に対して心肺運動負荷試験が実施できる環境を整えることはできた。現在、倫理委員会に申請準備はできたが、COVID-19の影響で倫理委員会および対象者のエントリーが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が終息し研究が再開できる状況になれば対象者をエントリーして行く予定である
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Causes of Carryover |
心肺運動負荷試験が実施できる体制は整った。 COVID-19が落ち着けば、対象者のリクルートしていく予定である
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Research Products
(1 results)