2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維症肺線維芽細胞の機能解析から新規抗線維化薬創薬への展開
Project/Area Number |
19K17647
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小山 良 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10365611)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / 肺線維症 / CAGE解析 / ERK5 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺線維症は肺の線維化の進行により呼吸不全をきたし生存率に寄与する有効性を証明した薬物療法はなく非常に予後不良な疾患である。研究代表者は肺線維化 の病態に直接深く関与する肺線維芽細胞の生理機能に着目した。炎症細胞から放出される線維化に重要なサイトカインのTGFβなどの作用により肺線維芽細胞は 増殖・遊走し、更に活性化された筋線維芽細胞に分化しECM産生亢進等の作用により肺の線維化を亢進させる。我々は理化学研究所において肺線維芽細胞で転写活性亢進するGeneを、プロモーター解析(CAGE解析)結果から網羅的プロファイリング解析を行い線維化に関わる未知の新たな線維化促進制御因子を探索し、それらが前記の現象にどう関わっているか検討を行った。また、正常肺線維芽細胞/肺線維症肺線維芽細胞の両群間のCAGE解析を行い転写プロモーター領域における表現型を比較した。CAGE解析結果より着目したERK5を阻害することにより、TGFβ1/ Smad3を介して肺線維芽細胞機能を抑制することを報告した(Cell Physiol Biochem 2019;52:822-837)。ERK5阻害薬はin vivoでも線維化抑制効果が報告されており、今後肺線維症に対する新たな治療薬となる可能性がある。さらに肺線維症肺線維芽細胞で転写活性が亢進しているGeneの網羅的解析結果から、なおかつ肺線維症肺線維芽細胞の生理機能活性を制御する特異的マーカー候補として、DPP4等が肺線維症肺線維芽細胞で高発現しており、経口血糖効果薬としてのDPP4阻害薬が抗線維化効果を発揮する可能性があり、遊走能やコラーゲンゲル収縮能活性について検証中である。
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