2020 Fiscal Year Research-status Report
混合型小細胞肺癌の腫瘍進展機構の解明と新たな治療標的の探索
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19K17651
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯田 由子 日本大学, 医学部, 専修医 (60835221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ASCL1 / TP53 / genetic ,mutation |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度で選定されたcombined cSCLC (cSCLC)症例について,FFPE検体よりSCLC成分とNSCLC成分に分けてDNAを抽出し,quality checkを通過した症例に対して,組織型成分ごとにターゲットパネルを用いた次世代シークエンサーによる肺癌関連遺伝子変異について検討した.さらに認められた遺伝子変異についてサンガーシークエンスで確認を行った. その結果,全ての症例において,認められた遺伝子変異のほとんどが同一症例の各組織型成分で共通していることを確認した.その中で最も多く各組織型成分で共通して認められた遺伝子変異はTP53遺伝子変異であった.よって,cSCLCのSCLC成分とNSCLC成分は,TP53遺伝子変異などの遺伝子変異を有した共通の前駆細胞から発生している可能性が考えられた. また前年度,cSCLCにおいてSCLC成分でNSCLC成分に比べてASCL1発現が高いことを証明したが,さらに今年度はNSCLC成分を含まないpure SCLC症例とcSCLC症例のASCL1発現を比較した.pure SCLC症例のRNAを抽出しRT-PCRでASCL1mRNA発現を確認した.その結果,統計学的有意差は認めなかったものの,pure SCLC症例は,cSCLCのSCLC成分よりもASCL1発現が高い傾向にあることが分かった. 以上より,cSCLCの各組織型成分は共通の前駆細胞から発生し,ASCL1発現の差が,pure SCLC, cSCLCのSCLC成分,NSCLC成分の表現型の差異に関わっている可能性を証明した. 今後さらに検討を追加し、研究成果として論文化する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初立案した当該年度の計画 (次世代シークエンサーによる癌特異的遺伝子変異解析、次世代シークエンサーで認められた遺伝子変異箇所のサンガーシークエンスによる解析等)をおおむね遂行できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,2019年度、2020年度で得られたcSCLCの各組織型成分に認められたmRNA発現・蛋白発現・遺伝子変異の情報をもとに,混合型小細胞肺癌におけるSCLC成分とNSCLC成分の組織型の差異・腫瘍進展に関わる分子生物学的特徴の考察・まとめを行う.また、得られた情報より、治療標的候補分子の探索を行う.これらの研究成果を論文にとりまとめ発表する予定である.
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Research Products
(2 results)