2019 Fiscal Year Research-status Report
Developing the novel therapeutic strategy with the oligonucleotide therapy against KRAS mutation-positive lung cancer
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19K17653
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
三上 浩司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70567205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | KRAS変異 / 肺癌 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF遺伝子変異の非小細胞肺癌(Non-Small Cell Lung Cancer: NSCLC)おいては、実臨床でそれぞれの分子標的治療薬が使用され、従来の細胞障害性抗癌化学療法と比較して極めて高い治療効果が得られている。さらに、近年の次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析の普及により、無数の新たな遺伝子変異が明らかとなり、肺癌診療においては個別化医療の実現が現実のものとなりつつある。しかしながら、その一方で、全ての遺伝子変異が治療対象となるactionable mutationという訳ではない。KRAS遺伝子変異は、NSCLCにおいて症例の約10%に観察され、EGFRに次ぐ第2のDriver Oncogeneである。しかし、変異型KRASを標的とした薬剤でこれまでに統計学的に無再発生存期間、全生存期間共に有効性を示すことができたものは存在せず、現状では、「遺伝子変異陰性NSCLC」として細胞障害性化学療法や免疫チェックポイント阻害薬による治療が行われている。そのため、新規治療法の開発が切望されている。核酸医薬は抗体医薬品と異なり、速やかにかつ比較的安価に合成が可能である事から、次世代の癌治療の主力となり得ると期待されている。本研究では、核酸医薬がKRAS遺伝子変異陽性肺癌の新たな治療選択肢となりうるかを検証する。今年度はKRAS変異陽性大腸癌に対する有効性が証明されているmiR-4689がKRAS遺伝子変異陽性肺癌に対しても有効である可能性をin vitro実験で示した。また、さらに詳細な検討を行うため、KRAS遺伝子変異を持たない肺腺癌細胞株にNSCLCで高頻度に認められるG12C変異を有するKRASタンパクを過剰発現させるプラスミドを導入し、恒常発現細胞株を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗腫瘍効果の細胞実験は、KRAS変異陽性肺癌細胞株であるA549とH441で行い、KRAS変異陽性大腸癌に対する抗腫瘍効果が示されているmiR-4689が肺癌に対してもある程度有効である可能性を示した。当初計画では、さらにmiR-4689がmutantのKRASに特異的に作用しているかを検証するためにwild type(WT)のKRASを発現しているH292細胞のWT KRASをCRISPR/Cas9システムを用いてノックアウト(KO)した上で、WTまたはmutantのKRASを導入し、H292-KRASwt細胞とH292-KRASmut細胞におけるmiR-4689の効果の違いを観察する予定であったが、KO細胞の作製に苦労したため、一部計画を変更し、H292細胞にNSCLCで高頻度に認められるG12C変異を有するKRASタンパクを過剰発現させるプラスミドを導入し、恒常発現細胞株を作製した。そのため、現段階における進捗としてはやや遅れているが、KRAS変異タンパクの恒常発現細胞株の作製に成功したため、実験を先に進めることができる。また、miR-4689の実験と並行して、KRAS変異陽性大腸癌に対して高い抗腫瘍効果を示す別の核酸医薬であるMIRTXを用いた検討と新たな核酸医薬を見つけるためのmicroRNA-seqを用いた網羅的解析を追加で行うための準備も進めることができたため、遅れは取り戻すことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度作製したG12C変異を有したKRASタンパク過剰発現細胞株、wile-type細胞株、KRAS 変異陽性 NSCLC細胞(A549, H441)を用いて、miR-4689の抗腫瘍効果とMAPKやPI3K、NF-κBといったシグナル経路に与える影響についてin vitro、in vivoの両面からより詳細な検討を行う。さらにmiR-4689の効果が期待されたほどではなかったこともあり、KRAS変異陽性大腸癌に対して高い抗腫瘍効果を示すもうひとつの核酸医薬MIRTXを用いて同様の検討を並行して行う。また、KRAS変異NSCLCで発現が変化するmicroRNAを同定するために、G12C変異を有したKRASタンパク過剰発現細胞株、wile-type細胞株のサンプルをmicroRNA-seqに提出し、網羅的な解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、H292細胞におけるWT KRAS KO細胞の作成に手間取り、mutant KRASをH292細胞に直接安定発現させる方針に変更した結果、in vitroでの実験が主となったため、試薬の使用量が想定より少なかった。その結果、使用額にわずかではあるが、差額が生じる事となった。来年度は、H292-KRASmut細胞を用いてmicroRNA-seqによる網羅的解析を行うと共に、KRAS変異陽性NSCLC細胞を用いたin vivoでのmir-4689の抗腫瘍効果の検証を予定しており、残額と共に次年度の予算を執行させて頂く予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Neutrophil-to- lymphocyte ratio as a predictive factor for hyperprogressive disease in NSCLC patients treated with immune checkpoint inhibitor2019
Author(s)
R.Takahashi, E.Shibata, T.Higashiyama, T.kamei, A.Tada, H.Ishigaki, Y.Nakajima, Y.Negi, M.Niki, K.Mikami, T.Minami, T.Yokoi, K.Kuribayashi, T.Kijima
Organizer
ESMO Asia Congress 2019
Int'l Joint Research
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