2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory research on novel biomarker and therapeutic target for pulmonary hypertension with a focus on inflammation especially in RAGE
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19K17658
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
出石 恭久 就実大学, 薬学部, 助教 (80791847)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 炎症 / 生体内因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺高血圧症(PH)患者由来の血液サンプルと肺血管構成細胞を用いて、平均肺動脈圧(mPAP)を指標とするPHの重症度と相関する新規バイオマーカーの開発、及び新規治療標的因子の開発を目的としている. 当該年度は、最初の検討として、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の中から適格基準に該当する治療前のmPAPが40 mmHg以上で、治療1年後のmPAPが25 mmHg未満と顕著なmPAPの改善を示した症例を対象とした.10症例の治療前と治療1年後の血液サンプルを用いて、本研究の候補因子の一つである、炎症に関与している生体内因子Xの血中濃度をELISA法により定量した.その結果、この生体内因子Xは、通常健常人では比較的高濃度で存在するが、治療前のCTEPH症例では顕著に低い値であることが分かった.更に、治療後も治療前と比べて明らかな量的変化は認められず、PHの重症度との相関性は示さなかった. 本研究結果については、より詳細な検討が必要と考えられるが、この生体内因子Xは、血栓形成に関与していることが報告されている事から、この生体内因子Xの血中濃度の低さがCTEPHの血栓形成を含む慢性的な病態形成に関与している可能性があると考えている. 今後、生体内因子XのCTEPHにおける組織学的な局在の変化や、肺血管構成細胞の過剰な増殖や遊走に対する作用等を評価する事で、CTEPHの病態形成への関与、及び新規治療標的因子としての可能性について検討を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
申請者の異動による所属先の変更により、現在の所属先の研究に関連する規則に従い、新たに研究環境を整える必要があった.これらの申請者による所属先での新たな研究体制の立ち上げのための手続きや準備に時間を要したため、研究の進捗は遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
従来の研究計画では、Receptor for advanced glycation end-products(RAGE)を中心とした炎症に関わる生体内因子の中で、肺高血圧症の重症度に相関する因子、またはRAGEに親和性を示す新たな内因性傷害関連分子パターン(DAMPs)を対象に、肺高血圧症の重症度と相関する新規バイオマーカーの開発、及び新規治療標的因子の開発を目的としていた. しかし、研究期間内で効率よく研究を遂行するために、従来の研究計画で対象としている因子に加え、肺高血圧症により明らかな量的変動を示す生体内因子についても注目し、病態形成との関連性や新規治療標的因子としての可能性について検討していく. 特に、現在検討を行っている生体内因子Xについては、引き続き組織学的な局在や肺血管構成細胞の過剰な増殖や遊走、アポトーシス耐性に対する作用について検討していく予定である.
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Causes of Carryover |
申請者の異動による所属先の変更に伴い、新たな研究体制の構築に時間を要した事により、本研究の開始が遅れてしまい、次年度使用額が生じた. 次年度使用額は、本来であれば当該年度実施予定だった生体内因子X以外のRAGEを中心とした炎症に関与する因子についての、肺高血圧症による量的変化の有無や、肺高血圧症の重症度に対する相関性の有無を切り口とした新規バイオマーカーや新規治療標的因子の開発につながる研究活動に補填する予定である.
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